著者
近藤 美弥子 中澤 誠多朗 岡田 和隆 松下 貴惠 山崎 裕
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.17-21, 2018-09

近年高齢者の味覚障害患者は急増しているが,原因が特発性で亜鉛の補充療法で奏功しない場合は,対応に苦慮する症例を少なからず経験する.今回,種々の薬物療法では効果が得られなかった味覚障害に対し,患者自ら自発的に行動療法を実践した結果,味覚の改善が得られた症例を経験したのでその概要を報告する. 症例は 75 歳女性.当科受診4か月前に,突然味覚異常を自覚し,その後舌痛も感じるようになった.そのため耳鼻咽喉科に3か月間通院したが,改善なく当科紹介受診した.当初,カンジダ性の味覚障害が疑われ抗真菌薬が投与されたが,舌痛の軽快のみで味覚の改善は認めなかった.次に,ロフラゼプ酸エチル,亜鉛の補充療法,2種類の漢方薬が長期投与されたが味覚に変化は認めなかった.その頃,テレビで視覚障害患者のドキュメンタリー番組を見て大いに感動し,味覚異常に執着しないで前向きに生活していくことを患者自らが実践するようになった. この行動療法により初診から2年目頃には,食事が美味しいと思えるほどに味覚の回復が得られ,その状態を維持している.

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