- 著者
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佐藤 知己
- 出版者
- 日本北方言語学会
- 雑誌
- 北方言語研究 (ISSN:21857121)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.219-230, 2020-03-20
本稿は、アイヌ語の「合成名詞(複合名詞とも呼ばれる)」の分析において、動詞から名詞への品詞転換、句から語へのカテゴリー転換という二つの文法的カテゴリー転換が共に重要な役割を果たしていることを、これまでのアイヌ語の研究史 を概観することによって確認し、さらに、未解決問題として残されている、自動詞( 一項動詞)から名詞への品詞転換を可能にしている要因とは何かを論ずるものである。具体的には、形式意味論的要因が転換において重要な役割を果たしている可能性を、完全動詞(ゼロ項動詞)との対比を通して明らかにすることを試みる。