著者
佐藤 知己
出版者
北海道大学
雑誌
北海道大学文学研究科紀要 (ISSN:13460277)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.157-170, 2007-02-20
著者
佐藤 知己
出版者
北海道大学
雑誌
北海道大学文学研究科紀要 (ISSN:13460277)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.153-180, 2008-02-15
著者
佐藤 知己
巻号頁・発行日
2008-06-29

アイヌ研究の現在と未来:第1部.平成20年6月29日.札幌市
著者
佐藤 知己 北原 モコットゥナシ イヤス シリヤ
出版者
北海道大学アイヌ・先住民研究センター
雑誌
アイヌ・先住民研究 (ISSN:24361763)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.75-101, 2022-03-01

本稿は北海道大学が作成・配布する「北大キャンパスマップ」に掲載される学内諸施設の名称をアイヌ語訳する作業の過程および訳案と、作業過程での議論をまとめて記録し、今後に残すものである。既存の語彙にない表現の翻訳としては、ウポポイ(民族共生象徴空間)で行われて来た展示・表示のアイヌ語化と通じるところがある。ただし、ウポポイでは日本語表現もアイヌ民族を主体とする表現を検討する余地があったが、本作業は和人を主体として長年使用されて来た語句を如何にアイヌ語化するかという視点を含んでおり、よりラディカルな形で脱植民地化というテーマに接近したものとなった。そのため、一致点を容易に見いだせず、狭義の言語学的翻訳論における議論のみでは不十分であることが浮き彫りにされた。なお、作成の過程では和人研究者(佐藤)とアイヌ民族に出自を持つ研究者(北原および複数名)が協議し、それぞれの立場からの議論を行ったが、議論は主として、現在用いられている日本語名称をアイヌ語訳する際の言語学的な精緻化、およびアイヌ民族の視点を反映させた訳の検討、そうした視点の必要性の3点について行った。なお、参考のために海外の同様の事例も検討することとし、サーミ語とフィンランド語の事例について、寄稿を受けて紹介することとした。本稿はこれらの議論を踏まえ、1から3は佐藤が、4はイヤスが、5から9は北原が執筆した。
著者
佐藤 知己
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

現存するアイヌ語の古文献を17世紀前半、18世紀前半、18世紀後半、19世紀前半に区分し、代表的なものを分析し、各時期の特徴を明らかにした上で、400年間にわたるアイヌ語の通史について一応の見通しを与えた。概略的には、17世紀初頭の文献にみられる音韻、文法、語彙の特徴が、18世紀初頭では失われる傾向があり、18世紀後半では急激な変化が起きたということを文献を用いて実証的に明らかにした。
著者
佐藤 知己
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

調査の結果、北海道大学が所蔵しているものだけでも、江戸時代のアイヌ語文献は膨大な量にのぼることがわかった。中でも、「加賀屋文書」は約千ページ分にも相当し、資料の少ない道東地方のアイヌ語を復元する上で貴重な資料となるものであることが明らかとなった。特に、根室、別海等の地方が明らかな資料を多数含んでおり、これらの地方のアイヌ語を知る上で非常に役立つものとおもわれる。なお、この資料は、寛政頃から明治初期まで、約70年にわたる記録であり、その間のアイヌ語の変遷、翻訳技術の変遷などを探る上でも非常に貴重なものであることが判明した。また、北海道立図書館等に所蔵されている文献の中にもこれまで研究されていない貴重な文献がみられ、中にはこれまでほとんど知られていない日本海沿岸地方のアイヌ語に関する情報を含むものも新たに見いだされた。また、旅行記のような、直接アイヌ語を記したのではない文献の中にも相当多数のアイヌ語が記録されていることが改めて確かめられた。これらはアイヌ語が文献の中に散在しているために調査に膨大な時間がかかり、組織的な調査は今後にまたなければならないが、アイヌ語の全体像を知る上で重要な手がかりを与えるものである見通しが得られた。なお、副次的な成果として、江戸時代に出版された世界最初のアイヌ語辞書である上原熊治郎「藻汐草」について調べたところ、道内に存在するものを調査しただけでも極論すれば一冊一冊が異なる状態を示し、特に印刷の精度に差があるために、文字の脱落の箇所や程度が一冊一冊異なっており、この辞書の正確な理解や評価は従来の一部の版本によるものでは極めて不十分であり、現存の版本を多数比較し、校訂版を作成しなければ下せないものであることが明らかとなった。資料数が膨大に上るため、未調査な文献がまだ多量にあり、今後も調査を継続する必要がある。また、既に収集した資料も膨大に上り、さらなる組織的な整理、分析が必要である。
著者
佐藤 知己
出版者
日本北方言語学会
雑誌
北方言語研究 (ISSN:21857121)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.219-230, 2020-03-20

本稿は、アイヌ語の「合成名詞(複合名詞とも呼ばれる)」の分析において、動詞から名詞への品詞転換、句から語へのカテゴリー転換という二つの文法的カテゴリー転換が共に重要な役割を果たしていることを、これまでのアイヌ語の研究史 を概観することによって確認し、さらに、未解決問題として残されている、自動詞( 一項動詞)から名詞への品詞転換を可能にしている要因とは何かを論ずるものである。具体的には、形式意味論的要因が転換において重要な役割を果たしている可能性を、完全動詞(ゼロ項動詞)との対比を通して明らかにすることを試みる。
著者
佐藤 知己
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

今年度は「蝦夷記」のアイヌ語の研究を重点的に行い、18世紀のアイヌ語の音声、音韻、文法、語彙の分析を行ったその結果、これまでに知られていなかった点として、いくつかの言語的特色が明らかになった。すなわち、まず、音声的な面について言えば、今日の/h/に対応する位置に、パ行の仮名が用いられている場合が、偶然とは思えない頻度で存在することが明らかとなった。また、今日のaに対応する位置にオ段の仮名が書かれている例も多数みられ、これらは、今日のアイヌ語の発音とは異なる発音であった可能性を示すものと考えられ、アイヌ語の変遷を考える上で貴重な示唆を与えるものである。文法的な点について言えば、人称接辞の存在が、既にこの時代の日本人によっても認識されていたことを示すと思われる記載が見つかった。このことは、アイヌ語の観察の精度が高いことを示すものと言うことができ、本資料の信頼性を推測する有力な手がかりとなるものである。語彙的な面では、従来、あまり明らかではなかった社会言語学的な言語変種が、この時代のアイヌ語には極めて多数存在していたことが明らかになった点が特筆される。すなわち、指示対象の種類、使用者の社会的な立場、使用される場面に応じて、同じ対象に対して実に様々な語彙が存在していたことが明らかになった。これらはいずれも今日のアイヌ語方言では全く知られていないか、痕跡的にしか残っていない特色であり、アイヌ語の歴史的変遷、アイヌ語の文法構造を探る上で貴重な手がかりを提供するものである。また、この資料の中には、現代の資料、たとえば『アイヌ神謡集』の中の難読語を解明する上で有力な手がかりを提供するものが含まれていることも同時に示した。なお、アイヌ口頭文芸の1人称体の起源の考察においても、古文献の資料が役立つことも示した。