著者
木俣 元一 KIMATA Motokazu
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-31, 2006-03 (Released:2012-06-22)

ここでは多人数授業を単に多数の学生が受講する授業ではなく、多様な専門と学習水準の学生が多数受講する授業としてとらえる。平成16年度前後期に文学部で実施した専門科目の授業「聖画像論1・2」(美術史特殊研究)での失敗体験に基づき、授業をどのように改善していったかを報告する。この授業を「開放科目」とした結果、文系理系の多様な学部の学生が多数出席したが、彼らが前提となる基礎知識を学んでいないだけでなく、かなり高度な内容としたため、授業についてこれない学生が多くいた。この事態をふまえ、授業途中で方針を転換し、過去の歴史そのものだけについて学ぶのではなく、現代の私たちを囲むことがらと関連づけ、自分自身の問題や関心に引きつけて理解できるように促すようにした。そのため途中で課題を与えレポートを書かせることで、内容を整理したり、各々の関心について意識させるように導いた。人文学では、内容すべてを理解することよりも、自分なりの問題点を発見できることが大切と考える。 The objective of this present article is to report on my own exprerience of a large scale class in a specilized subject: “On holy image” (2004-2005). In order to teach highly specialized contents to a large audience composed of many students from various departments and with diverse levels of academic attainments, I had changed the goal of the class and attached importance to that students regard historical facts on holy images in the distant past from their own interests and questions based mainly on the current culture: original and its copies, photograph, etc.

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