著者
木俣 元一
巻号頁・発行日
2003-03

科学研究費補助金 研究種目:基盤研究(C)(2) 課題番号:13610076 研究代表者:木俣元一 研究期間:2001-2002年度
著者
木俣 元一 KIMATA Motokazu
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-31, 2006-03 (Released:2012-06-22)

ここでは多人数授業を単に多数の学生が受講する授業ではなく、多様な専門と学習水準の学生が多数受講する授業としてとらえる。平成16年度前後期に文学部で実施した専門科目の授業「聖画像論1・2」(美術史特殊研究)での失敗体験に基づき、授業をどのように改善していったかを報告する。この授業を「開放科目」とした結果、文系理系の多様な学部の学生が多数出席したが、彼らが前提となる基礎知識を学んでいないだけでなく、かなり高度な内容としたため、授業についてこれない学生が多くいた。この事態をふまえ、授業途中で方針を転換し、過去の歴史そのものだけについて学ぶのではなく、現代の私たちを囲むことがらと関連づけ、自分自身の問題や関心に引きつけて理解できるように促すようにした。そのため途中で課題を与えレポートを書かせることで、内容を整理したり、各々の関心について意識させるように導いた。人文学では、内容すべてを理解することよりも、自分なりの問題点を発見できることが大切と考える。 The objective of this present article is to report on my own exprerience of a large scale class in a specilized subject: “On holy image” (2004-2005). In order to teach highly specialized contents to a large audience composed of many students from various departments and with diverse levels of academic attainments, I had changed the goal of the class and attached importance to that students regard historical facts on holy images in the distant past from their own interests and questions based mainly on the current culture: original and its copies, photograph, etc.
著者
木俣 元一
巻号頁・発行日
2005-05

科学研究費補助金 研究種目:基盤研究(C)(2) 課題番号:15520084 研究代表者:木俣元一 研究期間:2003-2004年度
著者
木俣 元一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

12世紀末から13世紀中期にかけての西欧における聖顔(ヴェロニカ)信仰の成立及び展開の諸様相を『詩編』や『ヨハネ黙示録』等の写本をはじめとする美術作品やテクストに基づいて詳細に跡づけ、イギリスで発展した理由や意義を当時の歴史的背景である終末に関わる思想やアングロ=サクソン以降の地域的伝統との関連で考察して、ヴェロニカのイメージと祈祷文が位置づけられる個人的祈念における宗教的実践の諸相を明らかにした。
著者
木俣 元一
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

リスボンのグルベンキアン美術館所蔵の『ヨハネ黙示録』写本の、子羊が第6の封印を開く場面でキリストが掲げ持つ印章がそなえる意味について考察を進めた。現代においてと同様に中世においても、視覚のあり方は一様でなく、地域や文化、対象や状況などの条件により多様な視覚のあり方が共存し、競合していた。西洋中世において機能していた多様な「視」のあり方をとらえるため、西欧の伝統において印章と刻印の比喩がどのように用いられたかを複製と権力という観点から追跡した。この比喩は、古代ギリシア、おそらくはそれ以前から、記憶、認識、表象、イメージ、存在をめぐるさまざまな問題系列と連なる伝統的トポスであった。古代、ビザンティン、初期中世においては、刻印は機械的複製を生産するための特権的手段であった。そこにあっては、人間の手が画材や道具を媒介として描写や似姿を形成するのでなく、イメージは一気に機械的に成立する。母型を素材に押しつけたり、打刻するとある程度の順応性や可塑性を備えた素材は、母型とは凹凸と左右の反転した形象を痕跡として留める。母型自体では陰刻であるゆえにいささか不明瞭であったイメージは浮き出すように可視化され、より判読しやすく触知的感覚をいきいきと呼び起こす様態へと変換される。こうしたイメージ産出手段では、個人による技術的差異が関与する余地はほとんどなく、同一のイメージを限りなく作り出すことが可能となる。西洋中世においては複製を作り出すこと、その技術、個々の複製がイメージの生産や受容に関わる多様な局面で重要な役割を果たした。
著者
木俣 元一 KIMATA Motokazu
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.45-57, 2008-03-31 (Released:2008-10-06)

The metaphor of seal and its imprint has a long tradition from Antiquity to Middle Ages. This study aims to investigate into the relationship between this metaphor and medieval christian image theory and visuality. In this first part, we treat following themes: 1. imprint as a mean of mechanical reproduction, 2. imprint as epistemological model, 3. imprint as token of Christian, 4. model and copy.