著者
横山 幹子 YOKOYAMA Mikiko
出版者
Editional Board of "Library, Information and Media Studies"
雑誌
図書館情報メディア研究 = Library, Information and Media Studies (ISSN:13487884)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1-16, 2018-03-31

アメリカの哲学者、ヒラリー・パトナムは、2016年3月13日に亡くなった。彼は、その哲学的な経歴において、科学的世界観と常識の世界観の両方を受け入れることができる、満足のいく哲学的実在論を求めて、実在論に対する立場を変えてきた。彼は、まず(狭い意味での)形而上学的実在論を、次に内的実在論を、それから、デューイレクチャーにおいて、選言説を含む自然な実在論(常識の実在論)を主張する。しかし、晩年、彼は、依然として常識の実在論を主張する一方で、選言説に反対し、リベラルな自然主義、リベラルな機能主義を主張する。本論文では、選言説への批判に焦点を当て、リベラルな自然主義やリベラルな機能主義の妥当性を検討する。そのため、まず、『心・身体・世界:三つの撚り糸』での自然な実在論と選言説について説明する。次に、リベラルな自然主義とリベラルな機能主義を概観する。それから、選言説への晩年のパトナムの批判を整理する。そして、最後に、リベラルな自然主義とリベラルな機能主義がかなり妥当する考えである一方で、それには、哲学的分析の役割をどのように考えるかという問題(常識は哲学かという問題)も含まれていると論じる。

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