著者
池元 有一
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.3-32, 2003-03-31

初期の日本のコンピュータ産業は,急成長する内需に依存して発展した.そこで,本稿ではその内需をいかに国産機が獲得したかを,コンピュータ利用の変化とメーカーの対応に着目し,(超)小型機を対象として明らかにした.1960年代,日本のユーザーの一部は,コンピュータ導入に対する不安から廉価な小型機を望み,国産メーカーは,PCSや会計機並の低価格でより高機能の小型機で新市場を開拓する.ここには,ライバルとなる外国機が存在せず,また,小型機ユーザーは経済成長に伴い上位機種へ移行する例も見られ,国産メーカーにとって有利な市場であった.富士通は,この小型機で売上を伸ばし,それを上位機種につなげコンピュータ市場全体のシェアを拡大した.日本電気は,超小型機で成功したが,提携先(ハネウェル)や販売店の都合で,それを上位機種につなげることができなかった.目立製作所は,小型機の自主開発も試みたが,提携先(RCA)や上層部の判断で,製品投入のタイミングを左右され,思うようにシェアを拡大できなかった.

言及状況

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

「日本のコンピュータ産業の発展過程」

収集済み URL リスト