著者
名武 なつ紀
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:3873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3/4, pp.81-99, 2007-03-09

本稿の課題は, 不動産業の基礎的条件である土地所有構造を, 高度成長期の大阪都心部を事例に明らかにすることである.この点の解明については, その重要性が認識されつつも, 資料的制約から研究蓄積が乏しかった.本稿では1955年と1975年の土地台帳と土地登記簿の悉皆調査を試みることで, 分析をすすめる.その結果, 高度成長期の前半においては, 大企業による土地集中が進行したが, 後半に至って, 大阪都心部の土地取引が沈静化したことが明らかとなる.この土地所有構造固定化の要因を, 都市の高層化に伴う土地の需要者と供給者の条件変化から浮き彫りにする.

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