- 著者
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蒲谷 肇
- 出版者
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
- 雑誌
- 東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, pp.67-82, 1988
千葉県南部の常緑広葉樹林(0.18ha)の下層植生を1971年,1976年,1986年の3回調査した。1986年には,それ以前にくらべ,下層植生に変化が見られた。変化はニホンジカが嗜好する種で大きいことから1980年頃から増加したニホンジカによるものと推測された。林床ではテイカカズラ,アオキ,アカガシ,ヤブコウジ,フユイチゴが大幅に減少した。低木層のアオキ,カクレミノ,クロガネモチについては樹高が2m未満の個体は絶滅した。非嗜好性植物として知られているイズセンリョウ,ホソバカナワラビ,ウラジロ,ヤブニッケイ,アセビの増減は少なかった。嗜好性植物とされるサカキ,ヒサカキ,ヤブツバキ,モチノキ,ヤブムラサキの本調査地での食害ははっきりしなかった。これは本地域のシカの生息密度が低いことが関係していると思われる。