著者
池澤 優
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.131-142, 1986-02-25

前回は主な中国古代宗教の学説を概観したが,今回は殷代に時代を区切って見てみたい。殷代の第一次資料としては所謂「甲骨卜辞」があるが,無論資料はそれにとどまるものではなく,青銅器やその鋳銘・土器・玉器・宮殿や墓葬などの遺構といった出土資料のみならず,多くの文献の質料価値もまた高いものがある。ただ問題はそれらが別の面の宗教的観念を表わすために,統一的に把握するのが難しいことである。また,古代王朝の性質上,全てが宗教に関係し,もし殷代宗教の全貌を述べるとすると殷代史の著述と変らなくなる。結局,おもしろそうな事項を選び,卜辞を資料とするものに限って概観する他はない。

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