- 著者
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寺沢 拓敬
- 出版者
- 東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
- 雑誌
- 言語情報科学 (ISSN:13478931)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.91-107, 2014-03-01
本稿の目的は、英語以外の異言語に対する「日本人」の態度を計量的に明らかにすることで、日本社会の多言語化に関する議論の基礎資料とすることである。主たる分析対象は、「日本版総合的社会調査」2006年版の「関心のある英語以外の言語」設問である。同調査の標本は、無作為抽出で採られているため、結果を「日本人」全体に一般化することが可能である。分析の結果、明らかになった点は、(1)調査時点で、「日本人」の約8割が英語以外の異言語の学習に何らかの関心を示したが、その関心は、日本社会の多言語化状況を必ずしも反映していない、(2)ジェンダー・年齢・教育レベルによって関心のある異言語が大きく異なった、(3)生活場面における外国人との接触機会は、異言語への関心を生んだが、頻繁な接触はむしろ異言語への関心を低めた、(4)英語力を持っていること自体は、英語以外の異言語学習に対する関心にはつながらないが、英語の使用・学習意欲は関心を高めた、という点である。以上の結果をもとに、「日本人」の異言語に対する態度の特徴について議論した。