著者
柾木 貴之
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.71-87, 2016-03-01

本研究は戦後から1960年代までを対象に、「国語教育と英語教育の連携」をめぐる状況について明らかにすることを目的とする。2000年以降、「連携」に関する議論が高まり、各分野から研究が進んでいるが、ほとんど研究が進んでいないのが歴史的研究である。とくに戦後から1960 年代にかけてどの程度、「連携」が行われていたかについては明らかになっていない。このような状況の下、文献調査を行った結果、「連携」が行われたことを示す資料は発見できなかったが、戦前にはほとんど見られなかった特徴として、(1)国語教育と外国語教育を合わせて「言語教育」と捉える動きがあったこと、(2)その「言語教育」という概念のもとで、国語教育と英語教育の共通点が模索されたこと、(3)しかし一方で、主に文学教材を通した人間形成を重視する国語教育と、コミュニケーション能力の育成を目指す英語教育とでは、全く異なったことをやっているという意識が存在したこと、の三点が明らかになった。このような意識が、戦後から1960年代にかけて、「連携」という発想が広く共有されなかった一因と考えられる。

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