著者
森 裕生 網岡 敬之 江木 啓訓 尾澤 重知
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.13-24, 2017-12-01

学期を通した学習内容の振り返りを促進するために、学生が「自己評価基準」「自己評価点」「自己評価基準の説明及び自己評価点の根拠」を検討する課題を取り入れた大学授業を2年間にわたり研究対象とした。1年目は最終回の授業で授業前と授業後の学生自身の「成長」に関するワークを、2年目は1年目の実績に基づいて授業デザインを変更し演習課題を通して身についた「能力・スキル」に関するワークを導入した。学生の提出した自己評価課題を質的に分析した結果、1年目は自己評価基準の51%にグループワークや演習課題の取り組み等の「授業形式」に関する自己評価基準が取り上げられた。授業デザインの変更を行った2年目は「授業形式」に関する自己評価基準は13%に減少した。また2年目は1年目と比較して(1)授業外で授業内容の応用に関する自己評価や自身の演習課題の回答などの学習プロセスに着目した自己評価が行われたこと、(2)自己評価基準の説明と根拠として、学生自身の学習プロセスと授業外での知識の応用に関する活動を融合させながら自己評価が行われたことなどが明らかになった。

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