著者
細川 真由
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.201-217, 2018-12-20

第一次世界大戦後, 未曾有の大戦争を経験した世界は, 国際連盟の創設や多国間条約の締結を通じて国際平和の構築を図った. 中でも1928年に締結された「国策の手段としての戦争放棄に関する条約」(不戦条約)は, フランスとアメリカとの協議から生まれた条約であるが, 最終的には多くの国が参加し, 史上初めて「国策の手段としての戦争」を禁止した画期的な条約となった. そして, この条約の成立にはアメリカにおける戦争違法化運動が大きな影響を与えたとして, 多くの先行研究の対象とされてきた. その一方で, 不戦条約をめぐるフランス外交に関する研究はほとんど見られない. しかし, 条約成立に至る複雑な交渉過程におけるフランス政府の意図やその背景にあるものについて検討を加えてはじめて, 不戦条約の意義と限界を明確にすることが可能となる. 本論文では, 政府文書・外交文書・同時代の著作等の一次史料, および先行研究に基づき, 不戦条約をめぐるフランスの外交的背景を考察した. その結果, 不戦条約は, 従来考えられてきたような理想主義的性質とはかけ離れた, 現実主義的な交渉過程を経て成立したことが明らかとなった.

言及状況

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