著者
福田 耕佑
出版者
東方キリスト教圏研究会
雑誌
東方キリスト教世界研究 = Journal for area studies on Eastern Christianity (ISSN:24321338)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.3-34, 2019-05-01

本稿はニコス・カザンザキス (1883-1957) がロシア期 (1925-1930) に執筆した諸作品を分析し,該当期に見られる彼の「東方」に関する思想を明らかにする。この「東方」に関する分析の中で,カザンザキスがロシアの起源を同じく「東方」に属しているギリシア・ビザンツと密接に関係づけながら描いたこと,そしてカザンザキスの理解におけるロシアの「東方性」として哲学的な側面と政治的な側面の二つが挙げられることを指摘する。加えて,カザンザキスはこのロシア期においても,思想的な主著『禁欲』の思想を根底として執筆活動を行っており,またロシア文学史の探求から彼の「ギリシア性」における重要な役割を果たすことになる「民衆」 (ο λαός) と「大地」 (η γη) の主要な概念を得たことを明らかにする。

言及状況

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[現代ギリシア文学][ロシア][ギリシア] カザンザキス、その著『ロシア文学史』の中で「ロシアと西方の断絶,そしてロシアの精神的な発展過程において,西方とは異なった文明世界であるビザンツ・ギリシアが大きな影響を与えたことを強調」。(p.18)

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