著者
村上 征勝 今西 祐一郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.774-782, 1999-03-15

『源氏物語』は 我が国古典の最高峰であるばかりでなく その芸術性の高さゆえに諸外国にも広く翻訳され 古くから数多くの研究がなされてきた. しかしながら現時点においても なお研究課題は数多く存在し たとえば 複数作者説や成立過程等 依然として未解決のまま持ち越されているものも多い。本論文では 微妙な表現価値にかかわる助動詞を取り上げ その『源氏物語』における出現頻度を分析し その結果 巻の成立順序や 後半の10巻 いわゆる「宇治十帖」他作者説が生ずる理由等との関連の可能性について次の結果を得た。源氏物語は話の内容から3部に分けるのが通説となっているが (1) 源氏物語の第1部を構成する紫の上系17巻と玉鬘系16巻は別々に成立した可能性がある. その場合 玉鬘系の16巻は第2部の後に成立した可能性が高い. (2)「宇治十帖」とその前の11巻 (第2部および「匂宮三帖」)との間には助動詞の用い方に差が見られ この差が文体の違いの反映であるならば これが1宇治十帖」他作者説が生ずる原因の1つと考えられる。(3) 各巻の文章を会話文と地の文に分けた場合に 助動詞の用い方に差が出るのは地の文である.

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源氏物語の作者複数説、学生のときにどっかで聞いたような気がするけどその後の研究どうなってるんやろう 源氏物語の助動詞の計量分析 https://t.co/cAwX2snG52

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