著者
平井 誠 北橋 忠宏
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.79(1986-NL-058), pp.1-8, 1986-11-21

本稿では、「XのY」という形態の名詞句と連体修飾を統一的な枠組みで捉らえることを目的として、両者を同一の基準で分類し、「の」と連体修飾の解析を行なう際に必要となる辞書情報について言及する。「XのY」という名詞句は極めて頻繁に使用されうえに、その意味も多様である。従って、言語解析の立場からは「の」の意味の決定が1つの大きな問題であり、その意味の適切な分類が必要である。これを分類する一方法は、「XのY」を関係節(形容詞節)と被修飾名詞から成る連体修飾の短縮形かあるいは単文の短縮形と考え、連体修飾の分類に基づいた分類を行なうことである。本稿では連体修飾を、1)関係節と被修飾名詞の意味的な関係および2)連体修飾句全体が何を指示するかの2点から、格要素型、関数型、isa型、推論型、および間接限定型の5種類に分類する。次いで、この分類基準を利用することにより、「の」の意味が6種類に分類できることを示す。最後に、この分類を用いて「の」と連体修飾を解析する際に必要となる名詞や動詞の意味情報(辞書情報)を各カテゴリー別にまとめる。

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