著者
ティヘリノ A. ジュリ 池田 満 北橋 忠宏 溝口 理一郎
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.476-487, 1993-07-01
被引用文献数
31

The main aim of this research is to establish a sophisticated methodology for building expert systems based on shared and reusable large knowledge bases. Multis, one of the major Conponents of the methodology, performs task analysis interview and synthesizes problem solving engines for a given task. To design Multis the authors identify libraries of task ontology and reusable software artifacts for construction of knowledge-based systems and make them available for Synthesis via direct-interactive mapping to task models. This library consists of a set of highly generalized software primitives abstracted from existing knowledge-based systems. The mapping to the target task model is accomplished through an intermediate step in which task performers identify the correspondence of the software primitives to their own task ontology. The task ontology itself is created with the use of non-functional task primitives in the form of generic vocabulary, i. e. a vocabulary that is dependent on the task, but not the domain of expertise. The vocabulary combines into verb/noun phrases forming generic processes which are generalized conceptual primitives for a given task. In this paper one such library of software artifacts is presented for the task of scheduling (eg. classroom scheduling for an educational institution) along with the corresponding generic vocabulary and generic process library.
著者
平井 誠 北橋 忠宏
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.79(1986-NL-058), pp.1-8, 1986-11-21

本稿では、「XのY」という形態の名詞句と連体修飾を統一的な枠組みで捉らえることを目的として、両者を同一の基準で分類し、「の」と連体修飾の解析を行なう際に必要となる辞書情報について言及する。「XのY」という名詞句は極めて頻繁に使用されうえに、その意味も多様である。従って、言語解析の立場からは「の」の意味の決定が1つの大きな問題であり、その意味の適切な分類が必要である。これを分類する一方法は、「XのY」を関係節(形容詞節)と被修飾名詞から成る連体修飾の短縮形かあるいは単文の短縮形と考え、連体修飾の分類に基づいた分類を行なうことである。本稿では連体修飾を、1)関係節と被修飾名詞の意味的な関係および2)連体修飾句全体が何を指示するかの2点から、格要素型、関数型、isa型、推論型、および間接限定型の5種類に分類する。次いで、この分類基準を利用することにより、「の」の意味が6種類に分類できることを示す。最後に、この分類を用いて「の」と連体修飾を解析する際に必要となる名詞や動詞の意味情報(辞書情報)を各カテゴリー別にまとめる。
著者
新田 直子 馬場口 登 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1838-1847, 2001-08-01
被引用文献数
24

我々は放送型スポーツ映像に対して映像・試合の構成に従い,ストーリー上重要と考えられる部分への意味的なアノテーションの自動生成を試みる.まずクローズドキャプションと呼ばれる言語ストリームから,キーワード列探索によりスポーツ映像において重要な意味をもつ実際に試合が進行している部分を抽出した上で,各部分でのプレイ・プレイを行った選手に関する情報を抽出しアノテーションを生成する.次に生成したアノテーションを付ける映像位置を決定するため,画像ストリームに対するマッチングにより同様に試合進行部分を抽出することで映像分割を行う.最後に両ストリームの時間的同期をとることによって,生成したアノテーションを映像に対して与える.本手法をスポーツ映像の例として実際のアメリカンフットボールの試合映像に適用し実,験を行った結果,再現率75%,適合率90%で映像の正確な試合進行部分に対して自動的にアノテーションを付けることが可能となった.
著者
高野 敦子 平井 誠 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.29, pp.25-32, 1995-05-12
被引用文献数
2 1

我々は,ユーザが自然言語を用いてシステムと対話することによってデータベースから情報を検索するためのユーザフレンドリーなインタフェースの提供を目指している.そのための基礎技術の1つとして,本研究ではユーザの検索文に対する協調的な応答生成手法を提案する.我々は,既に対話一般を対象として,質問文に対して協調的な応答を生成するモデルを提案している.そこで,ユーザの検索文を質問文と捉え,そのモデルをデータベース検索という観点から再構成することによって協調的な応答生成手法を示す.本手法では,検索者の意図を考慮することにより,検索の失敗への対応含めてより検索者の目的に合った応答の実現を図る.また,検索者の意図の実現や心理的要素を考慮して検索者にとって有用な情報を付加した応答を生成する.
著者
馬場口 登 堀江 政彦 上田 俊弘 淡 誠一郎 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.791-800, 1997-03-25
被引用文献数
41

本論文では, ユーザが現在地から目的地までの経路を理解するための支援システムとして, 略地図とその案内文を生成するシステムSKETISTを提案する. SKETISTは, データベース部, インタフェース部, および処理モジュール部からなる. データベース部には, 原地図画像を表すベクトル地図画像ベースと構造化データである道路ネットワークの二つがある. 処理モジュール部は, 道路ネットワーク抽出, 経路探索, 略地図生成, 案内文生成から構成される. 経路理解に主たる役割を果たす略地図とその案内文は, ベクトル地図画像ペースから自動的に生成される道路ネットワークを基礎データとして作成される. SKETISTの特徴は, 種々の処理段階でユーザの要求を反映できる設計となっていること, および相対する情報伝達特性を有する画像・図形メディアと言語メディアの統合システムとなっていることである. 提案システムを実装して動作検証を行った結果, ユーザの要求を反映した経路を探索し, 図形情報, 記号情報の双方を操作することにより任意の複雑さの略地図と案内文が良好に生成されることを確認した.
著者
平井 誠 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.240-249, 1987-03-15
被引用文献数
1

計算機による日本語文解析には動詞の表層格構造が広く用いられているが その際の主要な問題点として 1)名詞句内の多様な助詞表現をいかに格構造記述に吸収し 文解析に利用するか 2)助動詞および補助用言によって惹起される表層格構造の変化にどう対応するか という2点が挙げられる.1)については 名詞句の構文的特性を一組の格助詞で表現された表層格と助詞列から一意的に決まる"格の強度"という2属性で表現した.格助詞を含まない名詞句に 格助詞で表現された表層格を与えるために 係助詞と副助詞に対してそれらが代行可能な格助詞を"潜在格"として付与した.これにより 表層格構造が格助詞だけで記述可能になるとともに 単文の形態的制限を格構造に反映することが可能になった.2)に関しては 助動詞「させる られる たい できる」 補助用言「もらう する おく やすい」等について格変化の様式を決定する構文的および意味的特性を整理し 各々に対応する格構造変換規則としてまとめるとともに一般的な用言句の表層格構造を自立語用言の格構造から生成する手続きを示した.格変化の様式を決定する要因は1)格構造に含まれる格の種類 2)意志性 3)「移動 変化 発生 消滅」という観点からみた動詞の概念的構造 4)動詞の格要素間の関係(因果関係 物理的関係 パラメータ的関係) 5)格要素の有生無生の別である.
著者
河合 吉彦 馬場口 登 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.566, pp.83-90, 2001-01-12
被引用文献数
8

要約映像とは, 元の映像における重要な部分を短く編集した映像と定義される.本稿では, スポーツTV映像を対象とし, 個人適応を指向した要約映像の生成法を提案する.提案手法ではまず, スポーツのハイライト部が記述されたゲームスタッツと映像ストリームとの対応付けによって重要イベントを抽出する.この対応付けは, 映像中に出現するオーバーレイに含まれるテキスト情報を認識することにより実現する.続いて, 抽出されたイベントの中から個人の嗜好や興味を考慮して要約映像に含めるべきショットを選択, 連結し要約映像を生成する.実際の包装映像に対する実験では, 約2.5時間の映像が個人適応されつつ数分に要約された.
著者
宮内 進吾 馬場口 登 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.569, pp.63-70, 2002-01-11
参考文献数
15
被引用文献数
2

映像メディアを効率よく扱うには, 映像の意味内容に基づいてインデクスを付与しておく必要がある.本稿では, 放送型のスポーツ映像を対象に, インデクシングの対象として特に重要であると考えられる意味的なイベントの検出法を提案する.本手法では, まずクローズドキャプションと呼ばれる言語ストリームにおける語の出現情報を特徴として, イベントの候補区間を検出する.次に, これらの区間を音特徴に基づいて再評価し, 誤検出と思われるものを棄却する.最後に, 得られたイベント区間を画像情報を利用してショットに分割し, 音特徴からイベントショットを同定する.本手法を実際のアメリカンフットボール中継の映像に適用した結果, 再現率77%, 適合率84%でイベント区間を効率良く検出し, また良好な精度でショットに対するインデクシングが行えた.
著者
平井 誠 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.892-899, 1986-09-15
被引用文献数
1

日本語解析システムMARION-IVにおける名飼と用言の辞書情報および単文内の必須格要素と自由格要素の一解析手法を述べる.名詞の意味は 独立した二つの概念階層と6種類のリンクによる意味ネットワークを用いて記述している.概念階層は「具象 - 抽象」を基本分類とし 対象の客観的性質の記述に重点を置いたものと「自然 - 人工」および「操作性」を基本とし 人間と対象との関係に重点を置いたものである.意味リンクは「対象 - 属性 部分 - 全体」等の一般に周知の関係のほかに 「対象 - 提供物」を示すPROVIDEリンクを導入した.用言の構文および意味特性は 意志性(可制御性) アスペクト素性 移動性 作用性 格構造 格要素の意味規定等によって記述している.移動性は移動 変化 存在 発生 消滅を表す動詞の構造的記述であり 作用性は格要素間の因果関係の構造的記述である.必須格要素の解析は 格構造と名詞句内の助詞列の照合および名詞の意味記述を用いた格要素の意味調査により行っている.態変換は助動詞等に付加した規則で行っている.自由格要素は (1)事象間関係 (2)事象あるいは格要素の属性値 (3)意味的名詞並列に分類している.(1)は意志性とアスペクト素性を用いて解析している.(2)は意味ネットワークの探索により解析している.その際 事象(用言)の持つ属性は移動性や作用性から決定している.(3)は名詞間のリンクに基づいた概念的距離を用いて解析している.
著者
北橋 忠宏 福永 邦雄 小島 篤博 長田 典子
出版者
関西学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

現在の物体認識では、認識中の対象物に人間が触れることなど論外である。それは認識システムが対象を外観的特徴に基づき認識しているため、対象物が手影になることや外見が変更されることを排除する必要があるからである。これに対し人間は、人の動作・行動とそれに関与する事物との強い関連を知り、人の行動を観察することで事物や機能・用途を予測し認識できる。この方策を物体認識に導入し、新しい物体認識方式を提案した。提案システムは、(1)系列画像の解析部、(2)2種類の辞書:行為・行動に関する辞書と物体に関する辞書、(3)推論機構、から構成される。(1)では、系列画像の背景を消去し変化領域を従来手法により求め、その中の肌色領域の抽出により顔や手を求める。それらの位置・動きから人物の見掛けの動作を求める。同時に人体以外の変化領域を見出し、両者の時間経過を求めるとともに、それらの相互関係を求める。(2)の行為・行動辞書には行為・行動の特徴と通常関連する物体の項目を設けた。物体辞書は従来の外観的特徴を排し、用途や機能などを新たな特徴に掲げた。見出し語も、従来の事物名称ではなく、用途・機能による概念分類(例えば、可搬物、可食物)が用られる。これら2種類の知識はそれぞれ概念階層にまとめられる。(3)2種類の辞書は共通する項目をもち、これらにより関連付けられ、この関連性を基に(1)で認識した人物動作から関連する物体を辞書の探索によって推測し、(1)で抽出した人体以外の変化領域を人体動作と関連付け、認識のための推論機構の基礎をなしている。また、最近(1)に隠れマルコフモデルを導入し行為・行動認識で良好な結果を得た。人の後姿から扱っている物の認識とか、ものまねやしぐさの認識ができそうである。