- 著者
-
小林 亮太
池内 淳
- 雑誌
- 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
- 巻号頁・発行日
- vol.2012-HCI-147, no.29, pp.1-7, 2012-03-14
本稿は,表示媒体と表示内容の相違が学習能率にもたらす影響を把握することを目的とする.36 名の被験者に対して,タブレット端末と紙媒体のそれぞれを用いて,文学的文章と説明的文章からなる 2 タイプの文章を読ませ,主観評価および読み速度,記憶テスト,理解テストの結果を比較した.その結果,第一に,主観的な読みやすさの面では,iPad はすでに紙と同等の性能を実現していることがわかった.iPad を支持する理由としては,文字表示の鮮明さやページめくりのしやすさが上位を占める一方,紙では読書時の疲労が少ないことや集中しやすさが上位となった.第二に,文字情報のみからなるコンテンツの場合,読み速度や逐語的記憶では,説明的文章において表示媒体による有意差が認められた.また,文章理解ではタブレット端末よりも紙媒体に優位性があることが明らかになった.