著者
名城 邦夫
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSYU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.1-88, 2015-10-31

ヨーロッパ貨幣史を国家貨幣の分裂,計算貨幣の発展の視角から分析する。カール大帝は支配の単位として国家貨幣・銀貨デナリウスを導入した。その後,貨幣高権は分裂し,ヨーロッパに無数の貨幣流通圏が成立する。国王や領邦諸侯さらには都市当局によって支えられた特権的市場経済・指令慣習経済が成立し,その内部経済として北イタリア商人によって貨幣高権を超える商業ネットワークと信用決済システムが形成された。 16世紀を境に,ネーデルランドで商品取引所と為替取引所が設立され,ネーデルランドを中心に北西ヨーロッパで自由な市場経済圏が成立することになった。この市場経済の決済はアムステルダム為替銀行の計算貨幣バンコ・ギルダーによって行われた。こうして,北西ヨーロッパ市場圏の国際商品は銀行貨幣バンコ・ギルッダー建のもと自由に需要と供給によって価格が決定した。同時に,独立によって領土と国民が確定したオランダ共和国において卸売価格が決定し,最終的に共和国の小売価格がバンコ・ギルダーの価値に基づいて決定された。つまり,資本主義世界経済の決済貨幣・バンコ・ギルダーは共和国の国内価格を支配する為替貨幣となる。

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