著者
清水 美知子
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.14, pp.161-175, 2013-03-31

本稿は,戦後日本を代表する作家,松本清張の中編小説『熱い空気』を資料として,1960年代前半の家政婦像について考察したものである。主人公は家政婦紹介所に登録する派出家政婦。彼女の目を通して中流上層家庭の内幕をのぞき見る,というかたちで物語は進行する。 この作品で描かれるのは,人格無視で機械のようにこき使われる家政婦の姿である。雇主からすると家政婦はよそ者であり,かつて住み込み女中とのあいだに存在したような温情的な関係は成立しない。家政婦の被虐意識は恨みに転化し,雇主の妻への復讐を計画.平和な家庭を崩壊の危機に陥れる。当時,日本では女中払底の対応策として,家政婦を家事技術者として位置づけようとする動きがみられた。しかし現実には,雇主側に家政婦を見下す意識が残っていたため,家政婦が専門職としてのプライドを持つことは難しかったのである。

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[日本文学] 「松本清張の小説『熱い空気』にみる家政婦像 」

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