著者
藤井 由紀子 フジイ ユキコ Yukiko FUJII
雑誌
清泉女子大学人文科学研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.36, pp.7-29, 2015-03-31

本稿は、平安・鎌倉期の往生説話における「火車」の存在意義を考察することによって、当時の人々の〈死と救済〉の概念を探ったものである。まず、『今昔物語集』の済源伝を、『日本往生極楽記』に載る異伝と比較することによって、「火車」が「罪」と結びつくものであることを指摘した。さらに、『今昔物語集』と『宝物集』に載る悪人往生の「火車」説話を比較し、その罪が「五逆」に相当するような大罪であることを明らかにした。『宝物集』や『発心集』に載る「火車」説話は、『往生要集』を源泉として、臨終行儀と深く結びつくことによって成立している。それに対して、『今昔物語集』の「火車」説話は、その事件性に主眼があり、第三者の視線にさらされる「火車」の姿を示すことによって、のちに妖怪化する「火車」の怪異性を、先見的に示すものであったと位置づけた。

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【資料】清泉女子大学学術機関リポジトリに、藤井由紀子氏の論文「「火車」を見る者たち―平安・鎌倉期往生説話の〈死と救済〉―」(清泉女子大学人文科学研究所紀要 (36) 2015)がpdfで公開されています。興味のある方はぜひ https://t.co/cFRSoGWV8L

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