- 著者
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成願 めぐみ
餅原 尚子
久留 一郎
- 雑誌
- 鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.19-27, 2009-03-31
本研究では心的外傷(トラウマ)のパーソナリティに及ぼす影響が,ロールシャッハ反応にどのように表出するのか, その現れを探索した。 研究対象としてPTSDの事例8ケース, トラウマとの関係が深いとされるBPDの事例11ケース, 統制群として健康群10ケースのロールシャッハ・プロトコルを用い, 名古屋大学式技法によるスコアの量的分析と,反応の質的分析を行なった。結果として,「血液反応」(Bl)の多さ, Positive feeling%の少なさ, 色彩優位の反応の多さ(FC<CF+ C)などが,PTSD, BPD両群に共通した。また,両群ともにPTSD症状の「再体験」を思わせる反応が多くのケースに見いだされ, トラウマの再現性や影響はロールシャッハ反応上にも見いだされることがわかった。