著者
川崎 惣一
出版者
宮城教育大学附属教育復興支援センター
雑誌
教育復興支援センター紀要 = Bulletin of Support Center for Revival in Education, Miyagi University of Education (ISSN:21884080)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.61-72, 2015-03-11

近年,欧米やアジア諸国において注目されている教育実践として,「子どもの哲学(p4c:philosophy for children)」がある。これは「対話による探究」の実践である。本論はクリティカル・シンキングとの比較を行うことで「子どもの哲学」の意義を明らかにすることを目指すものである。 「子どもの哲学」は創造性を重視しており,新たな問いを立てることの重要性を強調していることに加え,問いそのものに対する前向きな態度や,他者および文脈に対する感受性を持つことをその柱の一つとしているのに対して,クリティカル・シンキングは「思考の質を高めること」に重点を置いている。このことから,両者は,互いに支え合い,含み合うような(楕円の二つの中心のような)関係のもとで,「子どもの哲学」がクリティカル・シンキングの基盤を形成しつつ,同時に後者の習得が前者のさらなる発展・深化を可能にする,そのような関係性にあると理解できるように思われる。

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「子どもの哲学(p4c)の意義について:震災からの復興に向けて/クリティカル・シンキングとの比較を中心に」https://t.co/e8bytJGE9C 先月刊行されたばかりの論文のようです。私も話だけは聞いていた仙台市内の小中学校での子どもの哲学の実践を踏まえた理論的考察です。

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