著者
原岡 蓉子 圓岡 偉男 Haraoka Hideo Tsuburaoka Yoko 東京情報大学大学院総合情報学研究科 Graduate School of InformaticsTokyo University of Information Sciences
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.55-66, 2019-03-01

2011年3月11日。宮城県牡鹿半島の東南東130kmの海底を震源とする、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生した。震災後、「絆」という言葉がメディアに溢れ、東北の人々が助け合い、懸命に生きる姿がテレビで連日放映された。私たちは、この大惨事を、日本全体を覆う共通の問題として捉えなくてはならなかった。そのために私たちは、この「絆」のもと、被災者と連帯し、被災者/非被災者の区別を超えて、統一的に行動していくという姿勢を取った。しかし、「絆」は人と人とのつながりを築くという意味で「包摂」を実現していくものであると同時に、その包摂に入らない人、入れない人を作り出す。現に、震災時には、そのような排除の圧力がしばしば見られた。本稿は、震災後に日本社会に蔓延した絆について考察し、そのことから、包摂性と排除性という絆の両義性を明らかにする。

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「絆」に内包される包摂性と排除性 https://t.co/AK3XkEjUpB https://t.co/Zh3hbeyQPd

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