著者
鈴木 英男 安岡 広志 圓岡 偉男 神野 建 新島 典子
出版者
東京情報大学
雑誌
東京情報大学研究論集 (ISSN:13432001)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-32, 2012-09-30

近年、Facebook、Twitter、mixi、GREE、Mobageの爆発的普及と、スマートフォンと呼ばれる携帯電話の登場により、掲示板、ブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用者数が急増している。高校生の携帯電話所持率も高く(95.1%)、携帯電話による子どもたちの被害も急増している。その内容は、いじめ、詐欺、異性間トラブル(強姦、児童売春)などの深刻な被害である。他方で、利用者は、被害者になるだけでなく、ネットの匿名性により、容易に加害者にもなり得る。いったん加害者になれば、匿名性は失われ、犯罪者となることもある。携帯電話を使用することは、被害者や加害者になり得るリスクを含んでいる。筆者らは過去9年にわたり国内20校以上の高校において携帯電話の情報モラル教育を実施してきた。高校生にとって理解しやすい内容にするため、筆者らの情報モラル講演は、本人追跡性について詳説、さらにデモンストレーションも行っている。本稿は、携帯電話利用にともなって生じる社会問題の複雑さ・深刻さについて分類、解説した上で、これまでの高校教育現場での情報モラル教育の実践をふまえ、効果的な情報モラル教育の一つの考え方を示すことを目的としている。本稿が高校教育現場で日夜問題に直面している関係者各位の手助けになることを期待したい。
著者
原岡 蓉子 圓岡 偉男 Haraoka Hideo Tsuburaoka Yoko 東京情報大学大学院総合情報学研究科 Graduate School of InformaticsTokyo University of Information Sciences
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.55-66, 2019-03-01

2011年3月11日。宮城県牡鹿半島の東南東130kmの海底を震源とする、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生した。震災後、「絆」という言葉がメディアに溢れ、東北の人々が助け合い、懸命に生きる姿がテレビで連日放映された。私たちは、この大惨事を、日本全体を覆う共通の問題として捉えなくてはならなかった。そのために私たちは、この「絆」のもと、被災者と連帯し、被災者/非被災者の区別を超えて、統一的に行動していくという姿勢を取った。しかし、「絆」は人と人とのつながりを築くという意味で「包摂」を実現していくものであると同時に、その包摂に入らない人、入れない人を作り出す。現に、震災時には、そのような排除の圧力がしばしば見られた。本稿は、震災後に日本社会に蔓延した絆について考察し、そのことから、包摂性と排除性という絆の両義性を明らかにする。
著者
圓岡 偉男 黒澤 周生 ツブラオ カヒデオ クロサワ シュウセイ Hideo Tsuburaoka Shyusei Kurosawa
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.49-61, 2011-09-30

本稿は日常生活において、いかにして意思決定が行われるかということを再考することにある。日々われわれは様々な決定を行っている。決定なしにわれわれの日常の行動は何ら先に進むことはない。意思決定という行為はわれわれの生活そのものに関わる事態であることは容易に想像できる。しかし、この日常的な行為について省みるとき、われわれはこの行為について、様々な側面が存在することに気づく。社会的世界に生きるわれわれにとって、決定行為の社会-文化的影響を無視することはできない。しかし、その一方で、その本質を問うとき、単に社会-文化的な影響下にあるというだけでは十分な回答を得ることはできない。本稿では、決定における古典理論を再考しながら、意思決定の基本構造を検討することを目的とするものである。ここでは特に時間構造に注意を払うことになる。The purpose of this paper is to reconsider how decision-making has been applied to our daily life. We perform various decisions every day. In our daily life, we always need decision making. We can easily imagine that decision-making affect deeply our daily life itself. However, we notice that there are the various sides about this act when we think about this daily act. Decision making always takes socio-cultural influence in our daily life. But when we think about that essence, it is not sufficient to point out a decision making comes under socio-cultural influence. This study reconsiders a classic theory of the decision making, and examines a basic structure of the decision-making. We will pay attention to structure of time.
著者
鈴木 英男 安岡 広志 圓岡 偉男 神野 建 新島 典子 スズキ ヒデオ ヤスオカ ヒロシ ツブラオカ ヒデオ ジンノ ケン ニイジマ ノリコ Hideo Suzuki Hiroshi Yasuoka Hideo Tsuburaoka Ken Jinno Noriko Niijima
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-32, 2012-09-30

近年、Facebook、Twitter、mixi、GREE、Mobageの爆発的普及と、スマートフォンと呼ばれる携帯電話の登場により、掲示板、ブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用者数が急増している。高校生の携帯電話所持率も高く(95.1%)、携帯電話による子どもたちの被害も急増している。その内容は、いじめ、詐欺、異性間トラブル(強姦、児童売春)などの深刻な被害である。他方で、利用者は、被害者になるだけでなく、ネットの匿名性により、容易に加害者にもなり得る。いったん加害者になれば、匿名性は失われ、犯罪者となることもある。携帯電話を使用することは、被害者や加害者になり得るリスクを含んでいる。筆者らは過去9年にわたり国内20校以上の高校において携帯電話の情報モラル教育を実施してきた。高校生にとって理解しやすい内容にするため、筆者らの情報モラル講演は、本人追跡性について詳説、さらにデモンストレーションも行っている。本稿は、携帯電話利用にともなって生じる社会問題の複雑さ・深刻さについて分類、解説した上で、これまでの高校教育現場での情報モラル教育の実践をふまえ、効果的な情報モラル教育の一つの考え方を示すことを目的としている。本稿が高校教育現場で日夜問題に直面している関係者各位の手助けになることを期待したい。In recent years, the number of users of the BBS, bulletin board system, the blog, and the SNS, social networking service, are increasing rapidly along with the explosive spread of Facebook, Twitter, mixi, GREE and Mobage, and with the appearance of" smart phone," a new type of the cellular phone. The more high school students possess cellular phones, the more serious damage the students suffer: bullying, fraud and even sexual assaults and troubles, such as rape and juvenile prostitution. On the other hand, by the anonymity of network, students can turn into not only victims but assailants easily. Once a student becomes an assailant, however, anonymity is lost and he/she can easily become a criminal. Thus, using cellular phones involves taking risks of becoming a victim and an assailant. We authors have performed the information morals education of cellular phones over the past nine years at over 20 Japanese senior high schools. Our lectures on the information morals education have been especially based on the user traceability for cellular phones, and are readily appealing to the students, including a demonstration of showing an IP address on PC/cellular phone's displays. In this paper, we first classify and explain the complexity and seriousness of the social problems which arise as a consequence of using cellular phones. Then we show principles for effective information morals education, based on authors' experiences of the lectures on information morals education so far. We will be happy if this paper could help to support high school teachers, facing these serious problems every day.