著者
山田 壮志郎
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.143・144, pp.133-157, 2021-03-31

貧困を,物質的な側面からだけでなく社会関係的な側面から捉えた場合,生活保護に対する否定的な世論やメディアのバッシング報道の広がりにより,生活保護受給者のスティグマが増幅することが危惧される.本研究では,ホームレス経験をもつ生活保護受給者 7 人に対するインタビュー調査をもとに,受給者が抱くスティグマの実相を分析した.ホームレス経験者にとって,生活保護開始時における施設や病院での「惨めな経験」が,スティグマを増長する要因になっていた.また,彼・彼女たち自身が生活保護受給者に対してスティグマを付与する主体になっていることも示唆された.このことは,自らが自らに対してスティグマを付与することを意味しており,結果として常に周囲からの目を気にして暮らしていくことになる.一方,時間の経過や同じ境遇の人との交流を通じて,スティグマは徐々に軽減されていた.しかし,バッシング報道の広がりによって,軽減されつつあったスティグマが再付与されることが懸念される.

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本日4限のゼミで学生さんと検討するのが,この論考。 生活保護とスティグマ・再考 -ホームレス経験のある受給者へのインタビュー調査から- https://t.co/97jnQ6p3Xj Zoomミーティングを使うので真正面で対面になる。 夜の公開講座はコロナ拡大中なのをふまえて延期にしてもらいました。

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