著者
小山 尚之
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 = Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.52-60, 2022-02-28

本稿はフィリップ・ソレルスとアリオシャ・ヴァルト・ラゾースキーとの対談「夜の恐怖に直面する啓蒙の精神」の日本語への翻訳と解説である。この対談でソレルスはニヒリズムの最初の公式の宣言をゲーテの『ファウスト』の中に認めている。ソレルスはニヒリズムの特徴――生殖への医学的操作、無への意志、時間の消滅、真理を知ろうとしない意志、ポエジの貧困――に覆われた現代社会をアポカリプス的と形容する。他方、時間の旅人であるソレルスは、その音楽的、律動的なエクリチュールを通して、さまざまな世紀、さまざまな単独的存在、さまざまな言語と愛をもって交わり、われわれに束の間の晴れ間を垣間見せる。彼にとっては「ひとつの身体とひとつの魂の中に真理を所有すること」がもっとも重要な文学的実践なのである。

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PDFあり。 ⇒フィリップ・ソレルス, アリオシャ・ヴァルト・ラゾースキー/小山尚之訳 「夜の恐怖に直面する啓蒙の精神」 『東京海洋大学研究報告』18 (2022/2) https://t.co/9RimFon7UU

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