著者
瀬口 眞司
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.208, pp.191-213, 2018-03-09

関西地方の縄文社会の地域的特色,それを醸し出した要因や背景を問うた。議論のポイントは,〈資源の収穫期間の長さ〉と〈資源利用の方向性と強化の程度〉である。そこで,出土堅果類,打製石斧数,磨製石斧数,堅果類貯蔵量の数量的分析などを行った。結果,東日本に比べ,遺跡出土の堅果類はより多様で,収穫期間もより長く,集約的な労働編成の必要性が低かった可能性を改めて見いだした。また,土地・森林の開発強化には消極的で,資源利用の強化の程度も低く抑えられていたことも見いだせた。関西縄文社会の集団規模は極小さく,求心的な社会構造も生まれていないが,それは資源環境が貧しいからではなく,集団の求心性よりも世帯の自律性が優先され続け,社会の階層化や財・権力の集中にブレーキをかける仕組みが保持されていたからであり,収穫期間がより長い森林資源環境が,その地域的特色の維持を支えていたと考えられる。

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関西縄文社会の地域的特色と その背景 https://t.co/Gj5egLe1t5 この地域差は狩猟採取できる自然物の分布による違いが背景にあると考えられる

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