著者
王 秀文
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.125-171, 2000-02-29

旺盛な繁殖力・生命力をもつものは、同時に不思議な呪力をも持っているが、桃も例外ではない。桃の呪力に関する伝承は、中国の諸史書にみられる。たとえば、古代の帝王や諸侯のあいだで行われた喪式・盟会・進食などの時や貯蔵した氷を取り出す時などに、桃の枝などで不祥を防ぎ凶悪を追い払った。『山海経』にみえる有名な度朔山伝説においては、巨大な桃の木の東北の枝間に鬼門があり、万鬼が出入りする。見張りの神荼・鬱塁の二神はその悪鬼を捕らえて虎に食わすと述べられている。この伝説を受け継いで、桃の呪力が古くから行われてきた追儺式にも用いられているし、中国の門神信仰や日本の鬼門信仰の起源ともなっている。そして、桃は黄泉国の神話において鬼を退散させたことから、桃太郎が鬼が島へ鬼征伐に出かける時にも、その呪力を発揮している。概して、桃は陰に対しての陽であり、死に対しての生であるので、時間的・空間的な境目において、生を扶助する呪力が認められる。

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