- 著者
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鈴木 貞美
- 出版者
- 国際日本文化研究センター
- 雑誌
- 日本研究 = NIHON KENKYŪ
- 巻号頁・発行日
- vol.56, pp.173-210, 2017-10-20
スティーヴン・ドッド『青春のことども――梶井基次郎の時代の生と死』(ハワイ大学プレス、2014)は、国際的な展望に立ち、梶井基次郎の世界を高く評価する論考と、ほとんどの作品の翻訳を収めた英語による初めての書物である。その論考部分は、欧米の諸分野の理論を援用し、国際的学際的な視野に立ち、日本のモダニズムをめぐる重大な課題を提起し、鋭い指摘に満ちている。創造的であろうとするあまり、理論の適用限界や文芸文化史の見渡しに問題が見受けられるが、それは決してドッド一人が抱える問題ではない。とくに1980年代までの日本の文芸批評の歴史的限界がはたらいている。本稿は、ドッドの広い視野に立つ挑戦を真に意義あるものにするために、文芸批評の方法を検討し、日本モダニズム研究に新しいステージを拓く試みである。