著者
大久保 恭子 Kyoko Okubo
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.21-37, 2013-09

切り紙絵による図像と自身が書いたテクストからなるマチスの書物芸術『ジャズ』(1947年)の表題は、画家が当初想定していた〈シルク(サーカス)〉から〈ジャズ〉への変更を経て決定された。ところが『ジャズ』の図像はサーカスに関連する主題を多く含んでおり、テクストを見てもことさらジャズ音楽につながりを持ってはいなかった。それではこの表題変更の意義をどのように捉えるべきなのだろう。表題と作品との関連についてカステルマンは図像頁とテクスト頁との間の「シンコペートする構成」を見いだしたが、『ジャズ』は作品全体がシンコペートされていたと考えられるのではないだろうか。『ジャズ』が内包する「シンコペート」すなわち「ずれ」の意義を、比較すべき作品『パラード』と第一次世界大戦下での芸術活動実態の分析を踏まえ、『ジャズ』とその制作時期に重なる第二次世界大戦下での芸術活動との関わりを視野に入れて俯瞰的に考察する。

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記事にもリンクを貼りましたが、大久保恭子氏の「アンリ・マチス『ジャズ』における表題の考察(II)」はたいへんおもしろかったです。こちらから読めます。 https://t.co/pl9ZwAKZGE

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