著者
降簱 光太郎 Kotaro FURIHATA
雑誌
淑徳大学短期大学部研究紀要 = Shukutoku University Junior College bulletin (ISSN:21887438)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.61-86, 2022-09-30

現在、我が国では超高齢社会が進展する状況であり、健康・医療・介護分野の情報やICTを積極的に活用することで国民一人ひとりの健康寿命の延伸や国民の利便性向上を図るとともに、医療や介護現場において、サービスの質を維持・向上しつつ、その効率化や生産性の向上を図っていくことが求められている。このような医療・介護分野を取り巻く環境が変化する趨向において、日本診療情報管理学会は、今後の診療情報管理業務で留意すべき点を改訂した「診療情報管理士業務指針2021」を公開した。診療情報管理士業務指針の初版「診療情報管理士業務指針2011」の訂正版である「診療情報管理士業務指針2016」および最新版「診療情報管理士業務指針2021」をテキストマイニング手法を用いて統計的分析を行い、診療情報管理業務の経時的な変遷を客観的なデータとして示すことができるかを試みた。結果、診療情報管理士の業務が、①地域の医療介護情報連携の必要性の高まり、②診療記録に関する標準化、③日本政府・WHO・海外の関係団体の動向、④個人情報保護に関する社会情勢や患者・利用者等の意識の変化、⑤医療のDX・チーム医療・医療安全・医療の質向上の推進、⑥診療情報管理部門の組織的確立化、により、経時的に変遷していることを詳らかにすることができた。さらに、診療情報管理士は診療情報の専門家として、その業務の本来の趣旨・目的を理解し、標準化・共通化と相互の参照手順の整備に関与し、医療だけではなく、介護領域においても診療情報の共有を徹底することに努める必要があり、WHOや海外の関係団体の動向、介護の情報化に取り組む我が国の方針の下、診療情報管理士の業務は、急性期医療の質の向上に向けた、言わば縦方向への拡大と、急性期医療と在宅医療・介護の連携に伴う横方向へ拡大する趨勢であることを客観的なデータとして明示することができた。

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#研究事例リストに追加しました:降簱光太郎 2022 「診療情報管理士の業務変遷に関する考察 ―診療情報管理士業務指針のテキストマイニングによる統計的分析―」 『淑徳大学短期大学部研究紀要』 65: 61-86 https://t.co/zTVii3jeAc ※お知らせ感謝申し上げます

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