著者
榎本 恵子
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.61-87, 2013-10-10

「喜劇の父」と評価され,フランス演劇に大いなる影響を与えた古典ラテン喜劇作家テレンティウスの作品の翻案が初めて17世紀フランスの舞台で上演されたのは1691年である。同じように「喜劇の父」と称されていたプラウトゥスの喜劇の翻案が上演されてから,約60年後のことである。ブリュエスはパラプラと共同でテレンティウスの『宦官』を『口の利けない男』として翻案し上演した。彼らの前には,ラ・フォンテーヌが翻訳し出版されているが,上演された記録はない。 テレンティウス原作『宦官』が如何に劇作家や観客の興味を引く作品であったかを考察し,この作品が17世紀のフランスの風習と,演劇の規則にそぐわない側面があることを浮き彫りにする。それにもかかわらず,時代の流れに適応させていったラ・フォンテーヌ,ブリュエスとパラプラの視点を検討する。そしてそこから17世紀フランスの劇作家にとって古典喜劇作家「テレンティウス」が意味するものを改めて確認していく。

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榎本恵子「17世紀フランスに蘇ったテレンティウスの『宦官』」 https://t.co/BFnrrRpJUn 「「喜劇の父」と評価され,フランス演劇に大いなる影響を与えた古典ラテン喜劇作家テレンティウスの作品の翻案が初めて17世紀フランスの舞台で上演されたのは1691年である」。

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