著者
榎本 恵子
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.28, pp.435-439, 2018-01-01 (Released:2019-07-26)
参考文献数
11

王太子グラン・ドーファン(ルイ14世の長男)が古典ラテン喜劇作家プラウトゥスとテレンティウスを読んでいたという事実に多くの研究者たちは驚きと不可解さを提示している.事実,「喜劇の父」であり「ラテン語日常会話の師」と称され評価されているにもかかわらず,古典ラテン喜劇作家の扱いは当時の教育機関によって異なっていた.本稿では,文学,芸術,演劇,建築等の様々な分野でのメセナとして君臨した「偉大なる世紀」17世紀フランスを統治したルイ14世の王太子教育において古典ラテン喜劇作家が重要な位置を占めていたことを調査確認した報告である.
著者
榎本 恵子
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究
巻号頁・発行日
vol.2020, no.30, pp.389-391, 2020

<p> 今日,アメリカのトランプ大統領,フランスのマクロン大統領のイメージ戦略が話題になっているがこれらの戦略は今に始まったことではない.改めて考えてみるとそこには「芸術の政治化」があるように思われる.本研究の目的は,そのイメージ戦略の原点の一つともいえるルイ14世のイメージ政策のうち彼が主催した祝祭に焦点を当て,国内外へのパフォーマンスを検証し,その位置づけを明らかにすることであり,本稿はその祝祭の持つ意味をまとめたものである.</p>
著者
榎本 恵子
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究
巻号頁・発行日
vol.2020, no.30, pp.385-388, 2020

<p> 本研究の目的は太陽王と呼ばれていたルイ14世のヘラクレスとしての表象についてその実態を明らかにすることである.</p><p> 17世紀フランスを治世したルイ14世は,太陽王としての異名で知られるが,対外政策として顕示した雄姿にはギリシャ神話の英雄ヘラクレスに表象されるものもあった.そこで,フランスにおいて国王のイメージがどのように製作されるのか,ヘラクレスがフランス国王の表象として選ばれた背景及びそれがどのようにルイ14世のイメージ戦略に適用されたのか調査・考察した.</p><p> 本稿はパリ市内,ヴェルサイユ宮殿,ルーヴル美術館,マザリーヌ図書館に現存するルイ14世の資料,オペラ『恋するヘラクレス』と喜劇『アンフィトリオン』の分析から浮き彫りになったルイ14世のイメージ戦略についての調査報告である.</p>
著者
榎本 恵子
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.61-87, 2013-10-10

「喜劇の父」と評価され,フランス演劇に大いなる影響を与えた古典ラテン喜劇作家テレンティウスの作品の翻案が初めて17世紀フランスの舞台で上演されたのは1691年である。同じように「喜劇の父」と称されていたプラウトゥスの喜劇の翻案が上演されてから,約60年後のことである。ブリュエスはパラプラと共同でテレンティウスの『宦官』を『口の利けない男』として翻案し上演した。彼らの前には,ラ・フォンテーヌが翻訳し出版されているが,上演された記録はない。 テレンティウス原作『宦官』が如何に劇作家や観客の興味を引く作品であったかを考察し,この作品が17世紀のフランスの風習と,演劇の規則にそぐわない側面があることを浮き彫りにする。それにもかかわらず,時代の流れに適応させていったラ・フォンテーヌ,ブリュエスとパラプラの視点を検討する。そしてそこから17世紀フランスの劇作家にとって古典喜劇作家「テレンティウス」が意味するものを改めて確認していく。
著者
榎本 恵子
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.76, pp.61-87, 2013-10-10

「喜劇の父」と評価され,フランス演劇に大いなる影響を与えた古典ラテン喜劇作家テレンティウスの作品の翻案が初めて17世紀フランスの舞台で上演されたのは1691年である。同じように「喜劇の父」と称されていたプラウトゥスの喜劇の翻案が上演されてから,約60年後のことである。ブリュエスはパラプラと共同でテレンティウスの『宦官』を『口の利けない男』として翻案し上演した。彼らの前には,ラ・フォンテーヌが翻訳し出版されているが,上演された記録はない。 テレンティウス原作『宦官』が如何に劇作家や観客の興味を引く作品であったかを考察し,この作品が17世紀のフランスの風習と,演劇の規則にそぐわない側面があることを浮き彫りにする。それにもかかわらず,時代の流れに適応させていったラ・フォンテーヌ,ブリュエスとパラプラの視点を検討する。そしてそこから17世紀フランスの劇作家にとって古典喜劇作家「テレンティウス」が意味するものを改めて確認していく。