- 著者
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落合 隆
- 出版者
- 中央大学人文科学研究所
- 雑誌
- 人文研紀要 (ISSN:02873877)
- 巻号頁・発行日
- vol.98, pp.111-144, 2021-09-30
本稿は,ルソーの『戦争法の諸原理』や,『サンピエール師の永久平和論抜粋』および『同・批判』を主な対象に,彼の戦争観,戦争を規制する戦争法,国際平和を構築する国家連合の内容を解明し,最後に彼の戦争・平和論のもつ意義を考察する。国家間の合意に基づく戦争法は,戦争を社会契約という国家の一体性を創り保つ関係への攻撃と見て,社会契約を解消した後も在り続ける個人の生命・自由・財産を救出し保障しようとする。また,国家間の合意の積み重ねである国家連合は,同盟国どうしの戦争を違法化して,国際紛争を平和的に解決する道を探ろうとする。このような国家どうしの合意を促すのが,平和を重要な要素とする公共の幸福を求める各国人民の一般意志なのである。ルソーにおいては,戦争を制限しあるいは防止する戦争法や国家連合は,社会契約による抑圧なき市民社会の形成と人民主権の定着に支えられていると言える。