- 著者
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蜂須 貢
- 出版者
- 昭和大学薬学雑誌編集委員会
- 雑誌
- 昭和大学薬学雑誌 (ISSN:18847854)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.57-70, 2011-06
2011年現在、新規抗うつ薬は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)としてフルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)としてミルナシプランおよびデュロキセチン、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)としてミルタザピンの計6剤が日本国内で使用可能である。これらはいずれもモノアミンの遊離を脳内で促進し、うつ病に効果をもたらすと考えられている。その中でもミルタザピンは特異な薬理作用を持っており、アドレナリンα2受容体を阻害する結果ノルアドレナリンとセロトニンの遊離を促進する(詳細は本文参照)。SSRIやSNRIは抗うつ効果発現までに服薬開始後2~4週間を要するが、NaSSAミルタザピンは抗うつ効果発現は約1週間と速やかである。これはモノアミン再取り込み阻害作用と受容体拮抗作用の違いで説明される。また、うつ病では前頭前野や海馬の機能および容積の低下が認められている。一方、抗うつ薬および抗うつ作用を示す療法(電気けいれん療法など)では海馬などで神経新生が認められている。抗うつ薬の長期投与ではうつ病の再発予防効果が認められており、抗うつ薬による神経新生がうつ病患者の脳機能を強化していると考えられるに至っている。これらの作用について経時的な神経系の活性化とモノアミン受容体の役割についてSSRIとNaSSAを比較しながら概説した。(著者抄録)