- 著者
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苅谷 愛彦
高岡 貞夫
齋藤 めぐみ
- 出版者
- 専修大学自然科学研究所
- 雑誌
- 専修自然科学紀要 (ISSN:03865827)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, pp.1-10, 2020-03-05
北アルプス南部・上高地西方の「西穂池」は,第四紀花崗閃緑岩の岩盤重力変形で生じた主稜線上の線状凹地に存在する小規模な水域である.西穂池を擁する線状凹地の地形発達過程および環境変化にかかわる議論に資する目的で,線状凹地底部においてハンドオーガーによる掘削を行った.その結果,長さ(深さ)210cmに達するほぼ連続的な柱状コアの回収に成功した.このコアから7点の[14]C年代試料と3点のテフラ試料を採取し,年代モデルの構築や示準面の挿入を試みた.西穂池の周辺では4200cal BPころまでに凹地が形成された可能性があり,3500cal BPころ以降に植生が侵入して腐植や泥炭の集積が現在まで続いている.このコアは過去4200年間以上の斜面変動や植生変遷を論じるための重要な資料となる.