著者
奥村 晃史 井村 隆介 今泉 俊文 東郷 正美 澤 祥 水野 清秀 苅谷 愛彦 斉藤 英二
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.50, no.appendix, pp.35-51, 1998-03-31 (Released:2010-11-17)
参考文献数
25
被引用文献数
9

The Itoigawa?Shizuoka tectonic line active fault system (ISTL) is one of the longest and the most complex active fault systems on land in Japan with very high activity. The system comprises the northern (55 km long east dipping reverse faults), the middle (60 km long left-lateral strike-slip faults), and the southern (35 km long west-dipping reverse faults) sections. The estimates of the average slip rate range 2 to over 10 m/103 yr in the system. This high slip rate and probable quiescense of the system exceeding 1150 years indicate the possibility of a surface faulting event in the near future. Since historic and instrumental records of seismicity along the ISTL is very poor, geological study on the paleoseismology of the ISTL has an important clue to evaluate the long-term seismic risks of the fault zone. In 1995 and 1996 the Geological Survey of Japan opened six exploratory trenches in the fault system and the results from the three in the northern section are reported in this paper. The Hakuba trench on the Kamishiro fault brought four earthquake events since 6738 BP (dendrocorrected radiocarbon age in calendar year) with the average recurrence interval to be between 1108 and 2430 years. The last event here postdates 1538 BP. The Omachi trench exposed the last event after 6th to 7th century AD and before 12th century at the latest, Only one event after 3rd to 4th century AD was identified in the Ikeda trench. The timing of the last event from each trench is between 500 and 1500 BP, which interval coincides with the timing of the last event in the middle section as well as the 841 AD or 762 AD earthquake reported in historical documents. The dating of the upper age limit of the last event is not precise enough to correlate the event with any of known earthquake. The recurrence interval of the northern section, however, is significantly longer than that of the Gofukuji fault. The difference in the recurrence time from one section to another is concordant with the difference in the apparent slip rate.
著者
苅谷 愛彦 高岡 貞夫 佐藤 剛
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.4, pp.768-790, 2013-08-25 (Released:2013-09-11)
参考文献数
63
被引用文献数
12 7

We studied the geomorphological and geological characteristics of four medium- to large-scale landslides that occurred in the alpine and subalpine zones of the northern Japanese Alps and assessed the relationship between landslide features and vegetation diversity in the landslide areas. To achieve this, we conducted field investigation and laboratory work including airphoto interpretation and radiometric dating of soils and fossil logs. Our field investigations indicate that, even in alpine and subalpine zones, landslide blocks (i.e., landslide deposition areas) display specific landforms such as scarplets, shallow depressions, and low mounds with linear or curved forms. Vegetation cover and aquatic areas such as peat bogs and moors also display linear or curved patterns that are superimposed on these small topographic features. We found that the highly diverse landscapes in landslide blocks were substantially different from those in present-day or fossil periglacial slopes near the main ridges, both of which displayed monotonous facies. The specific patterns of vegetation cover seen on landslide blocks probably formed under the influence of different slope environments, with variations of parameters such as inclination, soil properties, thermal-water regimes, and microclimate occurring as a result of landslide activities. Similarly, geomorphic changes such as channel migration and waterfall formation in and around areas of landsliding probably affected biological evolution and differentiation, and resulted in multiple modulations of the gene expression of aquatic organisms. Medium- to large-scale landslides are often reactivated by secondary movement. We suggest that subsequent variations of the landforms in the landslide blocks caused sudden or gradual changes in the surrounding natural environments, which had been forming since the initial mass movement. The biota present in a landslide block is the result of evolution and differentiation during geomorphic changes such as those described here; therefore, it is possible that secondary landsliding resulted in increased biological diversity and complexity.
著者
苅谷 愛彦 松四 雄騎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
巻号頁・発行日
pp.000156, 2018 (Released:2018-06-27)

安倍川上流部にある静岡県静岡市有東木地区(東沢流域)では約6000年前に泥流が発生した.その後,長い時間差をおかず身延山地の主稜線付近を発生域とする岩石なだれ(深層崩壊)が起こった.約5500年前には泥流堆積物や岩石なだれ堆積物を覆うように,流域の広範囲に土石流が発生した.以上のマスムーブメントの誘因は不明であるが,駿河-南海トラフ起源の海溝型巨大地震が関係した可能性がある.
著者
鈴木 輝美 苅谷 愛彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

山梨県御坂山地西部に位置する四尾連湖(湖面標高885 m,深度9.9 m)について,これまで演者らは地形・地質情報に基づきその成因と形成年代,発達過程を議論した(鈴木ほか2014 JpGU HDS29-P06;鈴木・苅谷2015 JpGU HDS25-P02)。その後の調査で新たに得た地形・地質情報や年代値から,四尾連湖を形成した地すべりの発生過程や,地すべり性湖沼の形成・消滅過程をさらに考察した。本大会では,これまでの議論と新たな成果を総合した四尾連湖の地形発達史について報告する。 現在の四尾連湖が成立する過程において,地すべりが重要な役割を演じてきたことが確認できた。この地域における地すべりの活動は,50 cal ka以降,繰り返されてきたと考えられる。地すべり性の地形変化により,地すべり性湖沼が成立してきた。実際,地すべり地内の数地点に湖成堆積物が分布しており,古湖沼の存在が示唆される。湖成堆積物の分布地点や分布高度から古湖沼は3つ存在していたと考えられる(古湖沼A,B,C)。これらの古湖沼は地すべり移動体にせき止められて形成されたと考えられる。湖成堆積物中の年代試料から得た14C年代値より,3つの古湖沼の形成は50~47 cal kaに完了したと考えられる。特に,現在の四尾連湖に継承された原初的な四尾連湖は50 cal ka頃に最初に成立し,当時の四尾連湖は東西に長い湖水域を持っていたと考えられる。その後,この原初四尾連湖は二次地すべり活動(47 cal ka頃)によって湖水域に流入した地すべり移動体で分断され,古湖沼Aが成立した。また原初四尾連湖の形成とほぼ同時に,古湖沼Bと同Cも成立した。さらに,現四尾連湖の湖岸堆積物を解析したところ,3.5 cal ka以前には四尾連湖の湖面水位が約1 m低かったことも明らかとなった。このように,現四尾連湖は湖水域の変化を伴ったものの現在まで約50 kyにわたり存続してきたが,古湖沼A,B,Cは地形変化による排水や土砂流入により消失した。 山地域においては,地すべりによって湖沼が形成され,水域が変化しつつ,存続したり消失したりする。地すべり性湖沼の地形発達は湖成堆積物から読み取ることが可能であり,さらにそれによって過去の地すべり活動についても考察することができる。地すべり地内においては地すべり変動とそれに伴う湖沼の形成や地形発達は密接に関わっているものと考えられる。
著者
苅谷 愛彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.149-164, 2012 (Released:2012-03-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

南米ペルーの中央アンデスには,標高4,000 mを上回る広大な高原であるプナ(アルチプラノ)が広がる.一方,プナは深さ2,000 m以上の河谷に刻まれる.広い高原と深い河谷という,二つの対照的な地形はインカ時代,あるいはそれ以前のプレ・インカ時代から集落の形成や農耕・牧畜の発達など,中央アンデスの人間生活に有形無形の影響を与えてきた.特に,プナを刻む深い河谷の谷壁には巨大な地すべりが随所に発達し,緩傾斜地をもたらしている.それらの地すべり地は集落や耕地として選択的に利用されてきた.本稿では,ペルー南部のアレキーパ県コタワシやプイカ周辺において,プナの縁や河谷の谷壁で認められる大規模地すべりに着目し,その発達過程や現在の様相を述べる.また人間生活との関わりも論述する.
著者
栗本 享宥 苅谷 愛彦 目代 邦康
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2019 (Released:2019-03-30)

はじめに 水沢上地すべり(以下ML:35.9363°N,137.0445°E)は岐阜県郡上市明宝に存在する大規模地すべり地である.MLは古文書に基づきAD1586天正地震で生じたとされてきた1,2).しかし先行研究では地質学的論拠が示されていない.筆者らは地質調査と地形判読を基礎として,MLの地形・地質的特徴と最新滑動年代を明らかにした.地域概要と研究方法 <地形>MLは飛騨高地南東部に位置し,周辺には標高2000 m以下の山岳が卓越する.木曽川水系吉田川とその支流がMLを貫く.<地質>ML一帯には烏帽子岳安山岩類が分布する.これはML西方の烏帽子岳から1 Maごろ噴出した安山岩と火山砕屑岩からなる2).同安山岩類は下部の凝灰角礫岩質の部分(以下Ep)と上部の安山岩溶岩(以下Ea)に分類される.他に貫入岩や,花崗岩,かんらん岩,美濃帯堆積岩類も分布する.MLの北に庄川断層帯三尾河断層(以下MF:B級左横ずれ)が走る.MFの最新イベントは840年前以降で,AD1586天正地震が対応する可能性が高い3).<方法>空中写真やDEM傾斜量図等を用いた地形判読と野外踏査を主な手法とした.踏査で採取した試料の14C年代測定も行った。MLの地形と地質 MLは3条の滑落崖と,複数の地すべり移動体に分類される.やや開析された滑落崖は円弧状を呈し,急崖をなす地点ではEaが露出する.地すべり移動体南部の平坦面についてはその分布標高からL~H面に分類できる.全移動体の体積は約2.2×107 ㎥である(侵食部分を含む).以下,各地点での地形・地質的特徴を述べる.<P1>不淘汰かつ無層理のEaの角礫からなる地すべり堆積物を,シルト~中粒砂の堰止湖沼堆積物が覆う.地すべり堆積物にはパッチワーク構造が観察できる.地すべり堆積物に含まれる材はcal AD1494~1601を示す.堰止湖沼堆積物層最下部の材はcal AD1552~1634である.<P2>P2周辺の吉田川の渓岸には割れ目に富むジグソーパズル状に破砕されたEaの岩盤や,シート状の粘土層や著しく座屈・褶曲したEp層がみられる.この堆積物の特徴は大規模崩壊堆積物にしばしば認められる特徴と類似・一致する.<P3>P3を代表とする地すべり移動体南部のL~H面上には,比高がまばらな長円形の小丘状地形や閉塞凹地が分布する.小丘状地形は破砕されたEa・Ep岩屑などで主に構成される。このような地形は、地すべりの移動方向に短軸をもつ4).小丘状地形の短軸方向と分布を集計し,各地形面の移動方向を検討した.地形面同士の関係(切る・切られる)も考慮した結果,過去3回の滑動が推測できた.<P4>P4付近では高さ約20 m,幅約50~100 mにわたり蛇紋岩化の著しいかんらん岩が分布する.かんらん岩は,およそ北―北北東方向に発達しているとみられる2).おわりに本研究は以下のようにまとめられる.①MLの各所に大規模地すべりと判断できる地形や地質的証拠がみられた.②P1ではcal AD1552~1634に地すべりによる堰き止め湖沼が生じた.③地すべり移動体上の微地形判読から,過去3回の滑動が推測された.④そのうち最新の滑動がcal AD1494~1601に発生したことは確実で,その誘因としてAD1586天正地震が挙げられる.⑤地すべりの誘因はML周辺の活断層による地震が,素因は蛇紋岩などの地質的な条件が考えられる参考文献 1)飯田(1987)『天正大地震誌』、井上・今村(1998)歴史地震,14,57-58. 2)河田・磯見・杉山(1988)「萩原地域の地質」.地調.3)杉山・粟田・佃(1991)地震,44,283-295. 4)木全・宮城(1985)地すべり,21(4),1-9.
著者
栗本 享宥 苅谷 愛彦 目代 邦康 山田 隆二 木村 誇 佐野 雅規 對馬 あかね 李 貞 中塚 武
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

岐阜県北西部から中央部にかけて走る庄川断層帯は,1586年天正地震の起震断層帯として強く疑われている断層帯であり,4条の活断層から成る.その最南端部である三尾河断層の南に移動体体積が2.2×107m3の大規模地すべり地が存在する.これは伝承で「水沢上の大割れ」と呼ばれ,天正地震で生じたとされてきた.しかし,当地すべりに関する地形学・地質学的な観点からの詳しい検討はなかった.演者らは,当地すべりを水沢上地すべり(以下ML)と命名し,現地踏査と1 m-DEMデータから作成した各種主題図(地形陰影図など)に基づく地形判読と現地で採取した試料の年代測定および年代値の分析を基礎として,MLの地形・地質特性や発生時期,誘因を検討した.やや開析された円弧状の滑落崖は北東方向に開き,その直下に地すべり移動体が分布する.移動体末端の一部は直下の河川(吉田川)を越えて対岸の谷壁斜面に乗り上げる.また移動体の一部は比高40~50 mの段丘状地形を成す.滑落崖,移動体の形状はそれらが複数回の地すべりで形成されたことを示唆し,地表面には地すべりに起因する大小の凹凸地形が発達する.地すべり移動体は不淘汰・無層理の安山岩角礫と細粒の基質から成り,礫にはジグソークラックが発達する.Loc. 1の左岸側露頭では移動体構成物質中に,地すべり移動時に巻き込まれたと推定されるクロボク状表土の破片が認められる.この破片に含まれる木片2点の較正年代(2δ)はcal AD 1492~1645の範囲に及ぶ.また,地すべり移動体が吉田川を堰き止めて生じた層厚約2 mの湖沼・氾濫原堆積物も確認できる.この湖沼・氾濫原堆積物の下限の約90 cm上位から採取した直径約20 cmの丸太材の外周部の14C年代はcal AD1513~1618であり,細胞セルロース酸素同位体比年輪年代測定によってAD1615~1620頃と推定された同材の枯死年代とは調和的である.以上のように,MLの規模や地すべり移動体と堰き止め湖沼・氾濫原堆積物の層相および年代から,MLの誘因は強震動が第一に想定される.試料の年代からみて,誘因が1586年天正地震であった可能性は高まったといえる.ただし歴史地震学において提唱されている天正地震の本質から,本震と考えられる1586年1月18日の地震でMLが形成されたか否かといった問題について,なお検討を加える余地がある.同時に1596年慶長伏見地震との関係についても検討の対象となる.
著者
苅谷 愛彦 松永 祐 宮澤 洋介 石井 正樹 小森 次郎 富田 国良
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.113, 2008

<BR><B>はじめに</B><BR>長野県白馬村白馬尻と白馬岳山頂を結ぶ白馬大雪渓ルートは北アルプスの代表的な人気登山路である.しかし大雪渓の谷底や谷壁では融雪期~根雪開始期を中心に様々な地形・雪氷の変化が生じ,それに因する登山事故が例年起きている1).特に,広い意味での落石 ―― 岩壁や未固結堆積物から剥離・落下・転動した岩屑が谷底の雪渓まで達し,それらが雪面で停止せず,またはいったん停止しても再転動して≧1 km滑走する現象 ―― は時間や天候を問わずに発生しているとみられ,危険性が高い.大雪渓のように通過者の多い登山路では,落石の発生機構や登山者の動態などを解明することが事故抑止のためにも重要である.本研究では,大雪渓に静止画像データロガー(IDL)を設置し,地形や雪氷,気象の状態および通過者の行動を観察・解析した.<BR><BR><B>方法・機器</B><BR><U>IDL</U>:KADEC21 EYE II(カラーCCD,画素数2M).<U>IDL設置点</U>:大雪渓左岸谷壁(標高1730 m).方位角約240度,仰角約5度.<U>記録仕様</U>:2007年6月10日~8月7日の毎日.0330~1900JSTの毎時00/30分に記録(6月10日10時開始).<U>画像解析</U>:肉眼による静止画と疑似動画の解析(落石,通過者数,融雪,気象など).<U>関連野外調査</U>:5月上旬~10月下旬に地温観測や落石位置のGPS測量などを複数回実施.<BR><BR><B>結 果</B><BR><U>IDLの作動</U>:設置直後から正常作動していたが,8月8日以降停止し,無記録となった(浸水による回路損傷).<U>撮像状態</U>:レンズへの着水による画像の乱れや濃霧により,谷を全く見通せない状態が全記録(1767画像)の約21%あった.<U>融雪</U>:反復測量に基づく日平均雪面低下量は5月上旬~6月上旬に約14 cm,6月上旬~7月上旬に約12 cm,7月上旬~8月上旬に約17 cm,8月上旬~9月上旬に約24 cmだった.この傾向は画像解析でも確認された.登山者の増加する7月~8月に融雪が加速したが,主谷はU字型断面をもつため雪渓表面積の減少は著しくなかった.<U>気象</U>:上記のように,全画像の約1/5に降雨や濃霧の影響が認められた.しかし大雪渓下部での降雨や濃霧が大雪渓上部でも同時発生していたのか否かは不明である.一方,大雪渓上部のみでの霧や雪面での移流霧の発生が多かった.<U>落石</U>:画像の前後比較により,雪渓上に落下し,停止した礫が確認された.また,それらの一部には融雪の進行による姿勢変化や再転動が認められ,撮像範囲外に移動したものもあった.さらに,雪渓上に達したナダレや土石流堆積物に含まれていた礫の一部にも姿勢変化や転動が認められた.なお,滑走する礫が雪面に残す白い軌跡は画像では確認できなかった(現地観察によれば,明確な軌跡を残すような巨礫の滑走は5月上旬~10月下旬に生じなかった可能性がある).<U>その他の地形変化</U>:大雪渓上部の珪長岩分布域では落石が定常的に発生しているが,画像では確認できなかった.<U>通過者</U>:7月20日(金)まで日通過者は≦40名(画像不鮮明などによる解析誤差あり)だったが,21日(土)に61名となった.これ以降増加し,27日(金)に292名,28日(土)に253名を記録した.時間帯別累計では,6時以降に増えて8時30分~10時30分に最多となり,11時以降減少することが判明した.<BR><BR><B>主たる結論</B><BR>(1)雪渓には谷壁や支谷から礫が到達し,雪面を滑走するほか,雪面に停止した礫の再転動も生じる.(2)記録期間における大雪渓下部の視界不良率は約20%である.(3)遠隔山岳地における地形,融雪,気象および登山者のモニタリングにIDLは有効である.(4)定量解析のためにIDL画素数の増量のほか,新たに動画記録も望まれる. <BR>--------------------<BR>参考文献:1)小森2006(岳人),2)苅谷ほか2006(地質ニュース),3)苅谷2007(地学雑),4)Kawasaki et al. 2006(EOS Trans. 87(52) AGU 06Fall Mtg. Abst).<BR> ◆本研究は,東京地学協会平成19年度研究調査助成対象.
著者
吉岡 敏和 苅谷 愛彦 七山 太 岡田 篤正 竹村 恵二
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.83-97, 1998-07-03 (Released:2010-03-11)
参考文献数
19
被引用文献数
1

The Hanaore fault is a right-lateral strike-slip active fault about 48km long in central Japan. We carried out comprehensive surveys including trench excavations on the Hanaore fault to evaluate the seismic risk of the highly populated area, such as Kyoto City, along this fault. Three trenches were excavated on the fault. On the exposure of the northernmost Tochudani trench, a fault cutting fluvial sediments and humic soil beds appeared. The youngest age of displaced sediments is 460±60 14C yBP, and the sediments covering the fault is 360±60 14C yBP. This faulting event may be correlated to the historical 1662 Kambun earthquake. The southernmost Imadegawa trench was excavated on the road in the urban area of Kyoto City. A thrust fault cutting humic soil with pottery fragments of the Late Jomon period (about 3, 500 years ago) was observed on the trench walls. It was difficult to detect the age of the last faulting event due to lack of younger sediments and artificial modifications of the surficial materials. However, the southern part of the fault might not move during the 1662 earthquake because the damage in this area was much less than in along the northern and middle part of the fault. The historical documents recorded that the land along the Mikata fault which is located at the north of the Hanaore fault was uplifted, and the land along the western shoreline of Lake Biwa where is the east of the Hanaore fault was subsided during the 1662 earthquake. This means that the 1662 earthquake might be a multi-segment event caused by these three faults, the Mikata fault, the northern part of the Hanaore fault, and the faults along the western shoreline of Lake Biwa.
著者
山田 隆二 井上 公夫 苅谷 愛彦 光谷 拓実 土志田 正二 佐野 雅規 李 貞 中塚 武
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

赤石山地鳳凰山東麓小武川支流ドンドコ沢に大量に分布する花崗岩質の巨大な角礫群は、堆積層から採取した樹幹試料等の放射性炭素(14C)年代測定に基づいて、奈良-平安時代に発生した大規模岩屑なだれに由来し天然ダムを形成したと考えられている(苅谷, 2012, 地形, 33: 297-313)。本研究では、酸素同位体比年輪年代測定法を用いて、岩屑なだれの誘因や堆積過程の解明に迫った。年代測定用の試料は、ドンドコ沢天然ダム湖堆積物の地表下約1 mの砂泥層に含まれるヒノキ(樹幹直径約50 cm、年輪計数による推定樹齢約400年)からディスク状に切り出して採取した。切り出したディスクから木口面に平行な厚さ1 mm、幅1 cmの薄板をスライスして板のままセルロース化し、最外年輪を53年分切り出して、総合地球環境学研究所が所有する熱分解元素分析計付きの同位体比質量分析計で測定した。測定結果の経年変動パターンを木曽ヒノキの標準変動曲線と対比したところ、ヒノキはAD 883+α(αは1年以上、数年程度)以降に倒伏・枯死したと考えられる。岩屑なだれの誘因を地震による強震動であると限定した場合、同じ露頭から採取した樹幹の14C年代測定結果は809-987(CalAD, 2σ; 苅谷, 2012)であることから、既往文献(宇佐美ほか, 2013, 日本被害地震総覧599-2012, 東京大学出版会)によると誘因となる可能性のある歴史地震が4つ程度考えられる(AD 841 信濃、 AD 841伊豆、AD 878 関東諸国、AD 887 五畿七道)。一方、酸素同位体比年輪年代のレンジはAD 883+αであるため、誘因となる可能性のある歴史地震はこれらのうちAD 887 五畿七道地震に絞られる。苅谷ほか(JPGU 2014, HDS29-P01)は同じ樹幹試料より年輪幅を計測し、AD 887晩夏の枯死年代を得ており、五畿七道地震(仁和三年 = AD 887夏)に関連して枯死したと指摘したが、酸素同位体比年輪年代測定の結果はそれに矛盾しない。この研究は、平成27年度砂防学会の公募研究会の助成を受けた。
著者
苅谷 愛彦 松永 祐 宮澤 洋介 小森 次郎 石井 正樹 佐藤 剛
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.5, pp.870-877, 2008-10-25 (Released:2010-04-27)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The Daisekkei Valley (1600-2300 m ASL) is a late Pleistocene glaciated trough in the northern Japanese Alps, and its attractive landscape has enchanted many climbers. Even today, there is a late-lying snowpatch 2 km long at the bottom of the valley in midsummer. Unique natural conditions in and around the Daisekkei Valley (e.g., Quaternary rapid uplift, complex geology, humid climates, sparse vegetation cover) have been responsible for the occurrence of various geomorphic changes that threaten climbers. This study, using an image data-logger capable of capturing a JPG image with a fixed time-interval in the summer of 2007 reveals supranival debris movements, micro-weather conditions and the behavior of climbers in the Daisekkei Valley. Analysis of captured images indicates that the daily numbers of dangerous supranival debris movements gradually decreased from early June to early August and supranival debris movements were caused by rock fragments moving in from valley walls or tributaries to the snowpatch, as well as posture changes of rock fragments on the snow surface with rapid ablation. Besides, image-inspection allows us to consider the relationships among climber traffic, micro-weather, and holiday almanac. Using an image data-logger for monitoring geomorphic changes is considered to be effective for analyzing alpine environments.
著者
沖津 進 百原 新 守田 益宗 苅谷 愛彦 植木 岳雪 三宅 尚
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,本州中部日本海側山地において,高山・亜高山域での最終氷期以降の植物群と環境の変遷史を,湿潤多雪環境の推移および植物地理的な分布要素に基づき整理した植物群の挙動を中心として,固有性の高い植物群落の形成過程に焦点を当てて明らかにし,「乾燥気候が卓越した最終氷期時にも,より湿潤な気候下に分布するベーリング要素植物群が,地形的なすみわけを通じて共存分布していた」との,全く新しい植物群・環境変遷史を提示した.
著者
稲村 哲也 山本 紀夫 川本 芳 大山 修一 苅谷 愛彦 杉山 三郎 鵜澤 和宏
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究代表者らはこれまで中央アンデス、ネパール・ヒマラヤ山岳地域などで共同研究を重ね、高地環境における牧畜文化の研究を蓄積してきた。アンデス高地の研究から、リャマ・アルパカ牧畜の特徴として、(1)定住的であること、(2)乳を利用しないこと、(3)農耕との結びつきが強いこと、などを明らかになった。これらの特徴は相互に関係し、低緯度の高地に位置する中央アンデスの自然環境、生態学的条件と関係している。そして、アンデスには2種類のラクダ科野生動物ビクーニャとグアナコも生息している。アンデスの家畜種アルパカと野生種ビクーニャの遺伝的近縁性が解明されたことから、その両種の生態を把握することの学術的意義が明確になり、他の地域では困難な「家畜と近縁野生種の同一地域における共時的・通時的研究」がアンデスでは可能となった。そこで、本研究では、ラクダ科動物の家畜種と野生種に関する遺伝学的な分析をさらに精緻化すると共に、それらの生態、牧畜システムの実態をさらに検証し、また、より精度の高い自然環境に関するデータを踏まえて、野生種と家畜種、狩猟と牧畜、動物と農耕などの相互関係、ドメスティケーション等に関わる研究を推進し、新たな知見を得た。また、今後のドメスティケーション、牧畜成立過程、古代文明形成プロセスなどに関する新たな研究への基礎を構築することができた。