- 著者
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丸田 健
- 出版者
- 奈良大学
- 雑誌
- 奈良大学紀要 = Memoirs of the Nara University
- 巻号頁・発行日
- no.51, pp.1-16, 2023-02-28
本稿では、柳宗悦の民藝思想の基礎を辿りながら、現代に通じる民藝の意義を考察する。民藝理論では、直下に直観されるべき道具の美が強調される。しかし民藝的諸道具にある価値は、それだけではないだろう。諸道具には様々な指示内容があり、それらにも人間にとって重要な価値がある。そしてそれらを知ることではじめて見える美の側面もある。民藝的道具はまた、使用を通じ、様々な親密な関係を作らせるものである。これらの、美や指示内容や用途性の全体によって、民藝は我々を、生活へ向かわせる。民藝には、人間存在の根源に触れる重要な価値があるが、他方、手仕事道具の存続は危ぶまれている。民藝は多くを与えつつ、同時に、人間がいかに生きるべきかを考える課題も突き付けているように思われる。