著者
粟屋 和彦 池田 輝正 田川 二秋
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.81-86, 1955-03-20 (Released:2009-02-19)
参考文献数
10

In an attempt to determine whether depolymerized desoxyribonucleic acid, a product of decomposed lymphocyte nuclei, may produce plasmacellular response in lymph nodes or not, the following experiments were carried out: Different amounts of desoxyribonucleic acid (DNA), i. e. 10mg and 2.5mg DNA dissolved in 1ml of physiological saline (pH was corrected by adding N/10-NaOH approximately to 7.0), were injected subcutaneously into the foot-pad of the right hind legs in a series of adult rabbits, and cellular response in the regional lymph nodes (popliteal nodes) was observed in sections. As control, 1ml of physiological saline was injected into the foot-pad of the left hind legs.Following DNA injection, a marked infiltration of pseudoeosinophilic leucocytes occurred in both the sites of injection and the regional lymph nodes within several hours, and then disappeared gradually after 48 hours. The plasmacytes which are normally present in the medullary cords of the nodes, also increased in number to some extent, coincident with the infiltration of pseudoeosinophiles. But their increase was not significant as compared with the controls, because injection of physiological saline alone produced a similar increase of plasmacytes (Tables 1 and 2). The cellular response in the sites of injection was almost the same as observed in the regional lymph nodes.It is concluded from these findings that depolymerized DNA, a product of decomposed lymphocyte nuclei, cannot be regarded as a primary factor to produce plasmacytic reaction in lymph nodes.
著者
鈴木 清之
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.375-381, 1970
被引用文献数
4

進行性筋ジストロフィー症患者 (32才男) の筋生検を行い, リングファイバーとその神経筋接合部を観察した. リングファイバーの筋線維は, 中心部は長軸方向に, また周辺部はそれをとりかこむ様に走り, 一部はみだれた配列をしめしていた. 筋小胞体は, 多少, 少ない様にみえた. トライアドは筋線維の横紋に関係なく不規則に分布していた. ミトコンドリアは, 筋鞘の近くに特に多くみられた.<br>リングファイバーの神経筋接合部は, 骨格筋のそれと似た像を呈するが, 結合ヒダは, もっと複雑な像を観察した.
著者
平 一男 武藤 博孝
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.373-384, 1981 (Released:2009-02-20)
参考文献数
30
被引用文献数
8 4

爬虫類に属するカナヘビ, ヤマカガシおよびイシガメの肝臓の伊東細胞を電子顕微鏡で観察した.観察したいずれの動物においても伊東細胞はディッセ腔内にあり, 通常脂肪滴を含んでいた. ブタの肝臓を飼料として飼育したイシガメの伊東細胞の脂肪滴は数も多く, 形も大きかった. 野外で捕獲したカナヘビとヤマカガシの伊東細胞の脂肪滴は数も少なく, 形の小さいものが多かった. ヤマカガシでは脂胞滴をもたない“空虚な伊東細胞”がしばしば観察された. 内腔の拡大した粗面小胞体がカナヘビとヤマカガシの伊東細胞にみられたが, イシガメにはみられなかった. 動物の栄養状態, とくに食餌中のビタミンAの含有量の多少が, このような相違をもたらしたものと思われる.
著者
田宮 三代三
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.331-344, 1957
被引用文献数
1

正常成犬の視索上核及び脳室旁核の神経分泌細胞における古典細胞学的所見を検索し, 次の成果を得た.<br>1. 細胞の形態は多極のものが最も多く, 核は円形乃至卵円形で, 多少とも偏在し, 視索上核腹内部で漏斗に近い部分の細胞には屡々核の濃縮が認められる. また例外的に2核細胞が見出される. 核小体は明らかであり, 時としてその内部に円形又は不整形の不染の空胞が認められ, それが核小体の大部分を占めることがある(この空胞は後報のごとく渇状態において増加する).<br>2. マイトコンドリア(Levi氏液, Champy 氏液, Regaud 氏液又は Zenker-formol 固定, paraffin 包埋, Regaud 氏又は Heidenhain 氏鉄ヒマトキシリン染色或は Altmann-Kull 氏染色)は短桿状のものが最も多く, 顆粒状のものがついで多く, 長糸状のものは細胞体の部分では例外的である. マイトコンドリアは細胞質内に平等に散在する場合もあるが, 又屡々核の附近或は辺縁部の Nissl 物質間に群在する場合もある. 神経線維の部分ではマイトコンドリアは長糸状で線維長軸の方向をとる.<br>3. 先ずアルデバイドフクシンで神経分泌物を染出した後 Regaud 氏鉄ヒマトキシリンで重染色を行う方法, 及び先ずマイトコンドリアを染出描画した後アルデハイドフクシンで再染色を行う方法により, マイトコンドリアと神経分泌物の関係を検討したが, 量, 形態及び配列状態に関して両者の間に一定の相関性を求め得なかった, しかし分泌物が少量である場合それらが殆ど常に比較的マイトコンドリアの多い核附近に存すること及び(後報のごとく)分泌機能の昂進時にマイトコンドリアの所見に一定の変化が認められることから, マイトコンドリアの豊富な酵素系が分泌の機序に関して密接な関係を有するであろうことは想像される. しかしマイトコンドリアの直接の変形によって分泌物の形成が行われるとは考えられない.<br>4. Golgi 装置(青山氏法又は Kolatchev 氏法)は黒い索の, 核をとりまく網工として現われることが多いが, 時には断片的に散在することもある. 網工のところどころに Golgi 内体に相当する空胞が認められる. 網工は核の偏在側と反対の側によく発達し, 屡々突起の根部に進入するが, 細胞体の表面には達しない.<br>Golgi 装置を染色した切片を更にトルイヂン青で重染色すると, Golgi 装置の外側に Nissl 物質に現われる.<br>5. 先ず Golgi 装置を銀染して描画した後, その切片をCHP法又はAF法で再染色して神経分泌物との関係を検討したが, 形態, 量, 位置に関して両者の間に一定の関係を求め得なかった. 分泌物が少量である場合, その位置は多くは Golgi 網工の内部に当るが, しかし分泌物が Golgi 装置と全く無関係に存することも多い.<br>6. 神経分泌物には微細不整形顆粒状のもの, 球形顆粒状のもの及び不整形集塊状のものが区別され, 第1型のものが最も多い. CHP法或はAF法ではこれら3型の何れのものも染出されるが, その他の染色法では主として第2型のものが染色され, 従って分泌物が染出される細胞の数も少く, この型式のものがその他のものと化学的組成を異にすることが推定される. 鉄ヒマトキシリンで分泌物を染出し得なかった細胞にも, CHP法やAF法で再染色を行えば, 微細顆粒が著明に現われる. 第3型は Herring 小体の或る場合に相当する.<br>7. Nissl 物質(純アルコール固定, セロイヂン包埋, チオニン又はトルイヂン青染色)の所見は細胞の大さによって異る. 即ち, 小形細胞には Nissl 物質を多量に有するものと殆ど有しないものとの2型があり, 中形細胞では塊状のものが辺縁部に並び粉末状のものが内部に散在し, 大形細胞では少数の塊状のものが辺縁部より少し内側に離れて存し, 粉末状のものが幾分多量に散在することが多い. 一般に塊状のものが中心部に存することは例外的であり, 虎斑状或は核周輪を呈することは認められない.<br>8. アルデハイドフクシンとトルイヂン青による重染色で Nissl 物質と神経分泌物の関係を検討すると, 小形細胞ではその2型を通じて神経分泌物は常に少量で核附近にあることが多く, 中形細胞では Nissl 領域を除き略々均等に分散してその量は細胞の大さに応じ, 大形細胞は分泌物に満ちている. 塊状の Nissl 物質と分泌物との間には明るく不染に止まる一帯が認められる.<br>9. これらの所見から, 中形細胞において神経分泌物が増量するとともに, Nissl 物質は減少し, 細胞は大形となり, その分泌物が突起内或は細胞体外に放出されると, 細胞は縮小して Nissl 物質も分泌物もともに少い小形細胞となり, ついで Nissl 物質を貯え, 分泌物の形成を始め, 両者の増大とともに漸次細胞が大形になる, という週期が推定される. 小形細胞の2型は分泌週期の開始と終了の2相に相当する所見と解釈される.
著者
高橋 誠一郎
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.297-309, 1957

正常犬の視床下部神経分泌細胞の位相差顕微鏡所見を記載した.<br>Ravonal 麻酔下に両側内頸静脈より潟血しつつ両側内頸動脈より先ず Ringer 氏液1500cc, ついで冷却40%庶糖液1000ccで灌流後, 開頭, 視索上核と脳室旁核を摘出, 凍結切片を40%庶糖液で封入するか, 或は Zenker 氏液, Bouin 氏液, formalin, alcohol の何れかで固定後4μ paraffin 切片とし, 脱パラ後 glycerin で封入して, 何れも主として dark contrast, 特にP. M. で観察し, かつ Gomori 氏C. H. P. 標本及び Nissl 標本の所見と比較した.<br>無固定神経分泌細胞の細胞質内及び突起内にはその形態並びに配列状態が Gomori 標本におけるC. H. 好性顆粒に酷似する多数の小球形顆粒が認められ, それらは, 小脳皮質の Purkinje 細胞や大脳皮質の錐体細胞には同様の顆粒が見出されないが, 後葉の血管周囲には同様の顆粒の密集所見があり, 渇状態においては視床下部においても後葉においてもそれらが激減する等のことから, 神経分泌顆粒と同定される. Mitochondria は神経分泌顆粒に混合し, 後者よりも明るい短桿状の顆粒として区別される. Nissl 物質は, 神経分泌顆粒及び mitochondria の少い細胞辺縁部に, 均質, 暗調, かつ粗大な顆粒又は塊状物として認められ, Nissl 標本における Nissl 物質の所見と一致した所見を呈する. これらの細胞内構造のうち, 最も長時間にわたって安定した位相差像を保つものは神経分泌顆粒であり, 秋-冬季, 室温で高張庶糖液中において約6-7時間その所見に著変を来さない.<br>固定標本における所見は Zenker 氏液, Bouin 氏液, formalin の何れを用いた場合にも著しい差異はなく, 無固定標本におけるに比して位相差像の鮮明さが稍々劣るが, 上記の細胞内諸形態は何れも識別される.<br>Alcohol 固定の標本では神経分泌顆粒が認められない. Alcohol 固定標本の Gomori 染色標本においても神経分泌顆粒が消失しているが, 位相差所見はそのことが分泌顆粒の染色性の変化に基ずく所見ではなく, 分泌顆粒の消失に基ずく所見であることを示し, その点後葉における同一所見とは全く意義を異にする (後報).<br>Golgi 装置は無固定, Zenker 固定, Bouin 固定, formalin 固定の何れの場合にも認められないが, 青山氏法の固定を行えば鍍銀を行わなくとも, 微細管腔状の構造が固定鍍銀標本におけると同様な形態で見出される.
著者
川村 抱三
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.245-255, 1951-03-20 (Released:2009-02-19)
参考文献数
12

Die Ultrastrukturdichte des Hühnereiweißes wurde nach der Fixierung in 15 Arten Fixierungsflüssigkeiten mit Hilfe der Azanfärbung untersucht. Die Dichte ist danach sehr verschieden, und zwar; ZENKERsche Flüssigkeit>ORTHsche Flüssigkeit>gesättigtes Sublimat>CARNOYsche Flüssigkeit>MÜLLERsche Flüssigkeit>10%iges Formalin>absoluter Alkohol>SCHAFFERsche Flüssigkeit>BOUINsche Flüssigkeit>gesättigte Pikrinsäure>5%ige Trichloressigsäure>70%iger Alkohol. Die stark sauren Fixierer bilden nämlich ein lockerer strukturiertes Koagulat, das Sublimat wirkt aber verdichtend. Die mit Fixierungsflüssigkeit direkt berührte oberflächliche Schicht der Eiweißmasse wird aber manchmai durch ihre schroffe Einwirkung bezüglich der Struktur wie der Ultrastrukturdichte stark verändert.Es wurden ferner Hühnereiweißausstriche mit verschiedenen Fixierungsflüssigkeiten fixiert und mit dem Elektronenmikroskop untersucht. Wenn das Hühnereiweiß mit einem stark sauren Fixierer fixiert wird, gehen die kleinsten Teilchen verloren, die aber bei der Anwesenheit des Sublimates konserviert werden können. Die nichtwässerigen Flüssigkeiten erhalten aber auch die kleinen Teilchen. Durch das Sublimat werden kugelige Teilchen von hoher Dichtigkeit gebildet. Der 70%ige Alkohol läßt, die Eiweißmoleküle langsam koagulierend, locker strukturierte fädige Gebilde sich entwickeln.
著者
星野 知之
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.25-39, 1974 (Released:2009-02-20)
参考文献数
15
被引用文献数
13 18

ネコとモルモット内耳のコルチ器と蓋膜との接続を走査電子顕微鏡で観察した. コルチ器は生後1ケ月の間さらに発育し変化するので, 生後1日から32日までのネコと成獣について調べた. 蓋膜の外側縁は生後まもない動物では3列目のダイテルス細胞に接続しているが, 生後20日目頃から次第に離れはじめる. 成獣ではもはやこの接続はみられなかった. 成獣では蓋膜下面に外毛細胞感覚毛の最長の1列の先端がささっている. 内毛細胞の感覚毛の先端は蓋膜にはささらず, 蓋膜は索状の構造物によって内毛細胞の近くと接続していると考えられたが, 生後10日のネコで, 蓋膜下面に感覚毛の先端がささっていたあとが認められた.