- 著者
-
永田 栄一郎
- 出版者
- 日本臨床生理学会
- 雑誌
- 日本臨床生理学会雑誌 (ISSN:02867052)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.5, pp.155-160, 2019-12-01 (Released:2020-03-06)
- 参考文献数
- 8
神経免疫疾患は,重症筋無力症,多発性硬化症,ギラン・バレー症候群,慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP),自己免疫性脳炎,多発性筋炎など自己免疫の異常を起こし,中枢神経系および末梢神経に障害を起こす疾患で,その症状は多彩である.中でも末梢神経障害,筋疾患に関しては診断,治療の評価に対して筋電図検査は有用である.ギラン・バレー症候群,CIDP などの末梢神経障害を起こす疾患では,神経伝導速度検査が有用である.CIDP では,運動神経伝導速度では,遠位潜時の延長,伝導速度の遅延,時間的分散や伝導ブロックなどの異常が認められる.また,針筋電図などでも神経原性変化が認められる.多発性筋炎や皮膚筋炎などの筋疾患では針筋電図において筋原性変化を認める.さらに,重症筋無力症は反復刺激試験においてwaning 現象を認め診断の一助となる.神経免疫疾患において,特に電気生理学的検査は診断・治療の上で重要である.