著者
松本 照代 鈴木 裕
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.147-151, 1955-09-20 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10

1) 完熟蚕豆中30%含まれている蛋白質を抽出し塩類で凝固させ大豆の豆腐に似たカードを製造してみた。2) 蚕豆中の含窒素物は水で82%, 0.2% NaOHで95%抽出される。抽出された蛋白質を凝固させるには90℃以上にする事が不可欠の条件である。尚凝固剤を加える時の温度は50℃以上であれば凝固するが,外観上の組織は70℃前後の時加えた物が豆腐に一番よく似ている。3) 加える凝固剤はMgCl2, MgSO4, CaCl2, CaSO4を用いたがMgSO4が小量で凝固を起させたが出来た凝固物のなめらかな点ではCaSO4が一番良かつた。4) 抽出された含窒素物は凝固剤CaCl2で80%凝固し,凝固剤の濃度が増しても窒素の割合に変化がなかつた。5) 出来たカードと上澄液の成分を調べた。カード中の含窒素量に蛋白質算出窒素係数6.25をかけると100 %を越すので蛋白質の窒素含有量が16%より多いのではないかと思われた。カード中の脂肪は非常に少量であつた。