著者
佐伯 英治
出版者
動物の原虫病研究会
雑誌
動物の原虫病 = Journal of animal protozoosis (ISSN:09157506)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-9, 2008-12-15
参考文献数
30
被引用文献数
1

ジアルジアは世界的に最も広く分布する消化管内寄生原虫のひとつで、犬や猫をはじめとするペット動物にも一定の感染が見られるといわれているが、わが国の小動物臨床における関心度は決して高いとはいえない。強い症状発現がない限り、積極的に検査診断される機会も少ない。それゆえに過少診断の可能性も指摘し得る。本稿では、ジアルジア感染が小動物臨床上看過できない寄生虫疾患であるという論拠を提示したい。
著者
渡辺 征 並河 和彦 相馬 武利 林 繁利 西尾 和男 小儀 昇 山口 直樹 菅野 紘行 須永 藤子 菅野 康則
出版者
動物の原虫病研究会
雑誌
動物の原虫病 = Journal of animal protozoosis (ISSN:09157506)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.25-30, 2004-12-15

四国徳島県および大阪府(吹田市)の動物病院由来のBabesia(B.)gibsoni感染疑いの犬60症例からB.gibsoni特異P18遺伝子の増幅法(PCR)により自然感染陽性と診断された38例について、末梢血中の血小板数および白血球数に及ぼす感染の影響を調べた。PCR法は血液のWrigh-Giemsa染色塗抹標本の鏡検法よりも感染の検出感度が高く、塗抹で検出できなかった7症例も検出可能であった。感染犬の血小板数は平均50000/μl(9000-97000/μl)というように低値を示し、非感染犬22例の平均306000μl(120000-448000μl)と比べると6分の1以下であった。このように感染に伴い血小板減少症が認められた。しかし、感染犬における白血球数は非感染犬との間に2例を除いて明らかな差が認められないことから、白血球数の減少傾向は見られなかった。