著者
堀 泰智 上地 正実 小儀 昇
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.99-103, 2005 (Released:2007-11-13)
参考文献数
11

12歳齢の雑種犬において顔面浮腫,腹囲膨満がみられた。血液生化学検査では低蛋白血症,低アルブミン血症がみられ,単純X線検査では腹水,胸水が確認された。腹部超音波検査では肝臓辺縁の鈍化,胆管拡張,膵臓の腫大,十二指腸の肥厚が認められたことから慢性膵炎が疑われた。症例は予後不良と判断されたため安楽死とした。病理解剖検査ならびに病理組織学的検査の結果,胆嚢炎,慢性膵炎,リンパ球形質細胞性腸炎と診断された。膵臓の腫脹,辺縁鈍化がみられた本例では,慢性膵炎の鑑別診断に腹部超音波検査が有用であった。
著者
渡辺 征 並河 和彦 相馬 武利 林 繁利 西尾 和男 小儀 昇 山口 直樹 菅野 紘行 須永 藤子 菅野 康則
出版者
動物の原虫病研究会
雑誌
動物の原虫病 = Journal of animal protozoosis (ISSN:09157506)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.25-30, 2004-12-15

四国徳島県および大阪府(吹田市)の動物病院由来のBabesia(B.)gibsoni感染疑いの犬60症例からB.gibsoni特異P18遺伝子の増幅法(PCR)により自然感染陽性と診断された38例について、末梢血中の血小板数および白血球数に及ぼす感染の影響を調べた。PCR法は血液のWrigh-Giemsa染色塗抹標本の鏡検法よりも感染の検出感度が高く、塗抹で検出できなかった7症例も検出可能であった。感染犬の血小板数は平均50000/μl(9000-97000/μl)というように低値を示し、非感染犬22例の平均306000μl(120000-448000μl)と比べると6分の1以下であった。このように感染に伴い血小板減少症が認められた。しかし、感染犬における白血球数は非感染犬との間に2例を除いて明らかな差が認められないことから、白血球数の減少傾向は見られなかった。