著者
佐々木 武彦 阿部 眞三 松永 和久 岡本 栄治 永野 邦明 丹野 耕一 千葉 芳則 狩野 篤 植松 克彦
出版者
宮城県古川農業試験場
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-17, 1994 (Released:2011-03-05)

宮城県古川農業試験場において、コシヒカリと初星の交配組合せから粳種の耐倒伏性極強・食味極良の新品種「ひとめぼれを育成した。本品種は東北中南部では中生の晩で、草型は偏穂数型である。耐倒伏性はやや弱、いもち病真性抵抗性推定遺伝子型はPi-i型で、圃場抵抗性は葉いもちにはやや弱、穂いもちには中、障害型耐冷性は極強である。玄米品質、食味は極めて良好でササニシキに優る。適地は東北地方中南部の平坦部、関東以西の早期栽培地帯及び温暖地、暖地の高冷地である。1991年に岩手、宮城、福島の各県で奨励品種に採用され、1992年には千葉、茨城、栃木、群馬、山梨、静岡、大分の各県で、1993年には鳥取県でそれぞれ奨励品種に採用された。
著者
佐々木 武彦 阿部 眞三 松永 和久 岡本 栄治 永野 邦明 丹野 耕一 千葉 芳則 狩野 篤 植松 克彦
出版者
宮城県古川農業試験場
雑誌
宮城県古川農業試験場研究報告 (ISSN:09172904)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-17, 1994-03

宮城県古川農業試験場において、コシヒカリと初星の交配組合せから粳種の耐倒伏性極強・食味極良の新品種「ひとめぼれを育成した。本品種は東北中南部では中生の晩で、草型は偏穂数型である。耐倒伏性はやや弱、いもち病真性抵抗性推定遺伝子型はPi-i型で、圃場抵抗性は葉いもちにはやや弱、穂いもちには中、障害型耐冷性は極強である。玄米品質、食味は極めて良好でササニシキに優る。適地は東北地方中南部の平坦部、関東以西の早期栽培地帯及び温暖地、暖地の高冷地である。1991年に岩手、宮城、福島の各県で奨励品種に採用され、1992年には千葉、茨城、栃木、群馬、山梨、静岡、大分の各県で、1993年には鳥取県でそれぞれ奨励品種に採用された。
著者
遠藤 貴司 永野 邦明 佐々木 都彦 千葉 文弥 我妻 謙介 早坂 浩志 佐伯 研一 佐藤 浩子 酒井 球絵 中込 佑介
出版者
宮城県古川農業試験場
雑誌
宮城県古川農業試験場研究報告 (ISSN:09172904)
巻号頁・発行日
no.13, pp.19-44, 2018-03

「だて正夢」は,「東北189号」(のちの「げんきまる」)を母,北海道の「おぼろづき」由来の低アミロース遺伝子Wx1-1を保有する中生の「東1126」を父として交配し,その後代より育成した良食味の中生水稲粳品種である。宮城県では,中生に属し,稈長は「ひとめぼれ」とほぼ同じで,稈長はやや長く,穂数は少なく,草型は中間型,耐冷性が"強",いもち病真性抵抗性遺伝子型はPibと推定され,いもち病ほ場抵抗性は,葉いもち,穂いもちともに"不明"である。「ひとめぼれ」と比べて,収量性は並から劣り,玄米品質は優れ,玄米の大きさは小さく,千粒重は約20gと軽い。耐倒伏性は"やや強",穂発芽性は"やや難",ふ先色は"白"である。精白米のアミロース含有率は約10%で,食味は粘りが強く良好で,冷めても食味の低下が少ない。栽培適地は,東北中部以南である。
出版者
宮城県古川農業試験場
雑誌
宮城県古川農業試験場研究報告 = Bulletin of the Miyagi Prefectural Furukawa Agricultural Experiment Station (ISSN:09172904)
巻号頁・発行日
no.4, pp.79-128, 2005-02

1980年冷害で主要品種に発生した障害不稔の被害程度は戦前の品種より大きく、また、北陸地方で耐冷性とは無関係に育成されたコシヒカリやトドロキワセなどの被害程度が東北地方の品種より小さかった。そこで、新たに開発した耐冷性の高精度検定法「恒温深水法」を用いて、東北地方を中心とする日本の水稲品種延べ800種類余の耐冷性を検定した結果、コシヒカリとトドロキワセの耐冷性は最強級で、また、水稲の耐冷性品種の多くは両品種の近縁品種であった。そして、日本の水稲耐冷性品種の大半は明治時代の大品種「愛国」と「神力」を遺伝子源とする二大系譜に属し、収量性や品質のすぐれた優良品種であることを解明した。なかでも「愛国」系譜の中で「コシヒカリ」を生み出した良質・良食味品種の系譜は、最強級の耐冷性品種の系譜であった。従来、耐冷性と良質・良食味を両立させるイネ育種は困難と考えられてきたが、以上の結果から決して困難ではないと考えられた。そこでコシヒカリの耐冷性を利用して東北地方向きの耐冷・良質・良食味品種の育種に取り組み、最強級の耐冷性と最高の良質・良食味を両立させた「ひとめぼれ」の育種に成功した。「ひとめぼれ」は東北地方を中心に広く普及し、頻発する冷害の被害軽減と産米の品質・食味の安定向上に貢献している。以上の研究成果は東北地方におけるイネの耐冷性育種に新たな展望を開いた。