著者
穴見 明
出版者
大東文化大学
雑誌
国際比較政治研究 (ISSN:09189092)
巻号頁・発行日
vol.11, 2002-03

どうもありがとうございました。それでは、時間も過ぎておりますので、そろそろシンポジウムを閉じさせていただきたいと思います。今日の報告者の皆さんのお話などからも、より明らかになったと思いますが、この首都機能移転問題自体が、多面的な問題でありまして、いろいろ多様な論点があることに加えまして、その問題の時間的なスパンにつきましても、いろいろな考え方があるということで、とてもこれだけの短い時間で、十分議論することは難しいわけですけれども、それにしましても、今日のシンポジウムを通じまして、問題の所在であるとか、あるいは問題の重要性であるとか、そういったことがかなり明らかになったのではないかと思います。そういうことで、主催者側としましては、今日、ご報告をお引き受けいただきました大坂先生、昇先生、竹下先生にあらためて御礼を申し上げたいと思います。それからまた、本日このシンポジウムに、出席していただいた皆さんにも、あらためて主催者側を代表して、お礼を申し上げたいと思います。それではこれで、シンポジウムを終わりとさせていただきます。どうも長い時間お疲れ様でした。
著者
ゲプハルト ヒールシャー
出版者
大東文化大学
雑誌
国際比較政治研究 (ISSN:09189092)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.54-67, 124-127, 2007-03

日本は、明治維新以来、欧米諸国を参考に近代化を進め、政治、経済、社会、文化などあらゆる分野で影響を受けている。これらの影響の一部は意図的に取り込まれ、又、その他は、そのものの力により、自然に入ってきた。第2次世界大戦の後、米国の占領政策によって、日本は改めて大きく変わった。多くの変革は、サンフランシスコ条約により、日本が主権を取り戻してからも続いている。アメリカの原案による、今まで一度も改正されたことのない現在の憲法は、その一例である。日本の現状は、日本本来のものと、アメリカ、ヨーロッパの要素の混合である。安倍晋三率いる新政府は、改憲と教育基本法の改革により、日本に固有のアイデンティティを与えようとしている。又、新政府は、最近問題になっている貧富の格差を是正しようとしている。この問題の解答を求めて、多くの日本人が、再び欧米に目を向けている。デーゼ1: 「アメリカ式」憲法以外の法律制度の多くが、大陸ヨーロッパやスカンジナヴィアに準じている。社会保障制度についても同じである。国や公共のシステムも、どちらかというと、ヨーロッパ型が期待されている。テーゼ2: 1945年以降の6・3・3の学校制度は、国民に、表面的には本家のアメリカを凌ぐ一般教養の標準化をもたらした。そのことでは昔ながらの出生による(階級的な)教育制度の分離に悩むヨーロッパの国々も日本をうらやんでいる。対するに、日本の大学は、例外はあるにしろ、その高い授業料に見合う水準にはなく、アメリカやヨーロッパの良い(といわれる)大学に及ばない。これは、日本人がエリートを作ることを嫌う風土にも関係があろう。テーゼ3: 政治分野では、大統領制をとるアメリカは、議会制民主主義による内閣制度を持つ日本には参考にならない。ヨーロッパの国々の政治制度も、それぞれ大きく違っているので、一つのヨーロッパ式のモデルも存在しない。フランスは日本と同じ中央集権国家ではあるが、日本と異なり、強大な力を持つ大統領が存在する。ドイツは連邦制をとっているが、日本の首相と比較しうる、強力な首相が居り、大統領の力は、それほど大きくない。
著者
昇 秀樹
出版者
大東文化大学
雑誌
国際比較政治研究 (ISSN:09189092)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-42, 2002-03

ご紹介いただきました、名城大学の昇といいます。そろそろ疲れてきた頃かと思いますので、簡単に報告したいというふうに思います。私はもう一〇年近く前になりますが、一九九二年に『遷都と地方自治』という本を書いたのですけれども、大坂先生のようにタイミングを見計らって出すということをしませんでしたので、ほとんど売れませんでした。それから一〇年近く時間が経って、いろんな、例えば神戸の震災があったり、今度のアメリカの同時テロがあったり、あるいは東京から人口が分散するかと思っていたら、二〇〇〇年の国勢調査ではまた東京に人口が集まりはじめているとか、郊外に移転していたマンションも、また土地の値段が、都心の値段が下がったこともあって、都心に回帰している。