著者
小林 りか 田村 朝章 渡辺 学 鈴木 徹
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.155-161, 2015-06-30 (Released:2016-06-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

食品冷凍において,凍結,低温貯蔵,解凍といった一連の冷凍操作すべてが品質劣化に影響を与える.特に大部分をタンパク質で構成される魚介類の品質は,タンパク質の冷凍変性に大きく影響を受ける.そのような中,解凍過程におけるタンパク質変性挙動に関する研究は,凍結貯蔵過程と比較してあまり着目されてこなかった.そこで本研究では,マグロ魚肉の解凍過程でのタンパク質変性の反応速度をCa-ATPase 活性値を指標として算出し,解凍中保持温度よる影響を議論した.同時にドリップ流出量を測定して両者の相関性を検証した.結果として,10℃以下の解凍中保持温度によってタンパク質変性進行は抑制され,Ca-ATPase 比活性値とドリップロスには緩やかな相関関係が確認された.
著者
金 まどか 河野 晋治
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.18-17FB_OA, (Released:2018-08-15)
参考文献数
8

凍結および解凍工程は,キンメダイをはじめとする赤色魚類の体表色の色彩変化を引き起こすことが知られているが,この色彩変化は,これらの魚の商業的価値を低下させる.本研究では,凍結解凍工程における体表色変化の原因を調べるために,キンメダイ鱗内のアスタキサンチン含量と赤色素胞の分散を測定した.凍結解凍前後の体表色をComputer Vision System を用いて数値化することにより,体表色変化は,–30 °C 下では凍結保管期間の影響を受けないことが明らかとなった.また,アスタキサンチン量は凍結解凍前後でほとんど変化しなかった.鱗内の赤色素胞の凝集と虹色素胞の損傷が,顕微鏡での観察により認められた.これらの結果より,凍結保管工程における色彩変化は,アスタキサンチンの酸化・分解だけではなく,鱗内の色素胞構造の変化にも原因があることが明らかとなった.
著者
上田 憲治
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.41-55, 2016

<tt>僅かな燃焼性を有する冷媒R1234ze(E),R1234yf,R32 は地球温暖化係数が低く,ヒートポンプへの採用が期待されている.これら冷媒を機械室に設置される水冷チラーと屋外に設置される空冷ヒートポンプに使用した場合の火災・火傷等の事故確率を算定した. 算定には同一構造となる従来機器の漏洩事故統計データを分析し,急速漏れ,噴出漏れ事故を対象とした.着火源の抽出では同時期に報告された微燃性冷媒の燃焼特性を用いた.その結果,適切な機械換気を備えることで事故確率は3.89× 10</tt><tt><sup>-12</sup></tt><tt> 件/台・年となり安全とされる値より十分小さいことが判った.</tt><tt> </tt>
著者
高市 健二 平良 繁治
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.13-21, 2016

2011 年から開始した家庭用エアコンの燃焼性ハザードに対するリスク評価は対象製品の全てで評価を終了した.本レポートではそのリスクアセスメントの評価手法について概括し,冷媒リークシミュレーション,着火源評価,FTA の評価などを通して,壁掛けエアコンでの各微燃性冷媒によるリスク評価結果が得られた過程を示す.また家庭用エアコンでリスクが高い1 対1 接続の床置き形エアコンのFTA 結果から見直しやリスク低減策により着火確率が許容値以下になった経緯も記述する.
著者
榎木 光治 宮田 一司 森 英夫
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.275-283, 2015-09-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
23

著者らは,先に,微細円形流路内の沸騰熱伝達率について,強制対流蒸発と核沸騰の寄与に加え,新たに微細流路に特有の液膜熱伝導蒸発の寄与を考慮した精度の高い整理式を提案した.液膜熱伝導蒸発は,主にスラグ流における気体プラグ周囲の薄液膜を通した熱伝導による蒸発熱伝達である.しかしながら,近年広く用いられる比較的高圧の冷媒に対して整理式で用いた核沸騰整理式の予測精度が良くないこと,また,最近得た水平流の低流量のデータに対して整理式の予測精度が低いことが明らかになった.本研究では,この2 点について以前に提案した整理式を修正し,予測精度の改善を行った.新たに得られた整理式は,著者らのR 410A のデータのみならず,他研究者によるR 32,R 1234yf およびH2O やCO2 を含む広範囲のデータに対して,水平流の低流量の条件を含め,高い予測精度を示した.
著者
Salsuwanda SELAMAT Akio MIYARA Keishi KARIYA
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.15-18RE_OA, (Released:2015-08-31)
参考文献数
14

Horizontal ground heat exchanger in ground source heat pump systems is susceptible to ground surface variations thus affecting its thermal performance. However, this configuration is desirable due to low installation costs as it mainly involved burying pipes in shallow trenches. The optimization of horizontal ground heat exchanger was investigated by simulating a cross section of the ground containing a single unit of slinky-loops. The analysis shows that although trench depth increased by one third in vertical orientation, there was no significant improvement on thermal performance compared to horizontal orientation. Unless land area is limited then it is suggested that loops are installed in vertical orientation. When the material used as ground heat exchanger was copper pipe, heat exchange rate improved by 20% compared to conventional HDPE pipe. As expected, ground thermal resistance has a limiting effect on thermal performance although the pipe was changed to a material with thermal conductivity of over 800 times higher. The effect of distributing the flow into a group of loops in parallel was also examined. Thermal performance increases as more heat transfer area was provided in parallel loops. The spacing between adjacent loops was studied to elucidate heat interference in parallel loops operation.