著者
小倉 雄一 池田 恭敏 塚本 真希 村木 敏明
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学付属病院職員研究発表報告集 : ひろき (ISSN:13448218)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-57, 2008

本研究の目的は、高次脳機能障害者の自動車運転技能の予測に有用な机上の高次脳機能検査を明らかにすることである。同意の得られた脳疾患者21名(53.9±10.2歳)と健常者11名(59.0±13.9歳)の計32名を対象に、机上の高次脳機能検査とドライビングシュミレーターによる運転技能検査を実施した。その結果、運転技能検査の危険走行回数と有意な相関のあった高次脳機能検査課題は、MMSE,TMTのPartA,PartB,WAIS-Rの絵画完成、絵画配列、積木模様、符号、WMS-Rの精神統制、理論的記憶1、言語性対連合1、視覚性再生1、数唱、視覚性記憶範囲、BADSの不規則変換カード、動物園地図、修正6要素であった。また、危険走行回数を目的変数、危険走行回数との間に有意な相関のあった高次機能検査課題を説明変数として、ステップワイズ法の重回帰分析をおこなった結果、寄与率(R2)0.726の有意な重回帰式が得られ、抽出された説明変数は、影響の大きい順にBADSの動物園地図、WAIS-Rの符号、WMS-Rの言語性対連合1であった。
著者
小倉雄一 池田 恭敏 仲平 安佐 村木 敏明 米田 奈央 石崎 侑里
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学付属病院研究誌 (ISSN:13448218)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.59-64, 2007
被引用文献数
1

本研究の目的は、高次脳機能障害者の自動車運転能力の予測に有用な高次脳機能検査を明らかにすることである。同意の得られた脳疾患者11名(54.6±11.8歳)と健常者9名(57.5±13.1歳)の計20名を対象に、机上の高次脳機能検査とドライビングシミュレータによる運転技能検査を実施した。その結果、運転技能検査の危険走行回数との相関分析において、相関係数(絶対値)が0.7以上を示した高次脳機能検査は、TMT PartA(r = 0.746)、TMT PartB(r = 0.770)、WAIS-R符号評価点(r = -0.756)、WMS-R言語性対連合I粗点(r = -0.753)、BADS動物園地図得点(r = -0.731)、BADS年齢補正標準化得点(r = -0.798)であった。これらの高次脳機能検査結果と危険走行回数との単回帰式を求め、健常者の危険走行回数の平均値を代入したところ、自動車運転の適否判断の目安値として、TMT PartAで47秒、TMT PartBで133秒、WAIS-R符号評価点で11点、WMS-R言語性対連合I粗点で17点、BADS動物園地図得点で2.3点、BADS年齢補正標準化得点で99点が算出された。
著者
灘村 妙子 白井 沙緒里 村木 敏明 相原 育依 池田 恭敏 黒澤 也生子
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学付属病院職員研究発表報告集 : ひろき (ISSN:13448218)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.39-47, 2008
被引用文献数
1

回復期リハ病棟では25〜40%の患者が抑うつ状態にあるとの報告がある。抑うつ状態の予防・改善については、個別での身体機能への介入やADL介入のみにとどまるのではなく、早期から患者同士のコミュニケーションの場を設け、援助することの重要性が指摘されている。そこで、当院OT科では通常の個別介入に加え、他職種へのOT,自分の健康意識向上の啓発を含めて病棟デイルームにて小集団OTを実施している。研究1では、回復期リハ病棟における小集団OT介入による入院中の脳血管疾患患者の心理社会機能の検討を目的とし、連続8回以上参加した18名に対して集団活動評価、うつ・情動障害スケールにて効果を検討した。その結果、いずれの項目においても有意な向上、改善が認められ、小集団OTが入院生活、退院後の生活の閉じこもり傾向を予防しうる可能性が示唆された。研究2では2事例を通して小集団OT参加による病棟内での生活状況と個別介入の変化を検討した。その結果、集団の特性を生かした個別介入により、成功体験による、自己有能感の向上や主体的なリハビリを促すことが可能であることが示唆された。
著者
榎本 景子 萩谷 英俊 岩本 浩二 六崎 裕高
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学付属病院職員研究発表報告集 : ひろき (ISSN:13448218)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-6, 2010

足関節機能障害に対する外科的治療では、主に関節固定術あるいは人工関節置換術が存在する。人工足関節置換術は、関節固定術に比べると運動性を有するため、除痛ばかりでなく、可動域改善のため基本動作やADLの改善にも効果がある。しかし、合併症(緩み、沈下による再置換など)や正常可動域の獲得が困難である不良例が存在することも報告されており、長期成績に関しては人工膝関節や股関節と比較すると問題があるといわれているのが現状である。 今回、リウマチ性関節炎亜型による右足関節痛を有する症例に対し、人工足関節置換術後5週間の理学療法を実施した。術後は疼痛が消失し、理学療法により術中に確認された足関節角度は獲得され、歩容や耐久性が改善された。退院時には、運動量の確認、浮腫管理やアイシング、マッサージなどを継続することを指導し、在宅生活で必要となる床からの立ち上がりや階段昇降について負担の少ない動作方法について確認を行った。 今後継続的にフォローし、疼痛や緩みなどが出現していないか長期的経過観察をしていくことが重要となる。