著者
荒川 正幹 長谷川 清 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.99-106, 2002 (Released:2002-08-23)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

CoMFA法をはじめとする多くの3D-QSAR手法において、対象とする分子構造を適切に重ね合わせることは、解析を成功させるための重要な因子であるため、種々の重ね合わせ手法が提案されている。著者らもHopfield Neural Network(HNN)を用いた新しい分子構造重ね合わせ手法を提案しており、COX-2阻害剤のCoMFA解析に適用し良好な結果を得ている[M. Arakawa, K. Hasegawa, K. Funatsu, Journal of Computer Aided Chemistry, 3, 63-72 (2002)]。本研究ではこの重ね合わせ手法のさらなる有用性を検証するため、human epidermal growth factor receptor-2 (HER2)阻害剤の3D-QSAR解析を行った。HER2阻害剤27化合物について、HNNによる重ね合わせを行い活性配座を推定した後、CoMFA法による3D-QSAR解析を行った結果、R²=0.805、Q²=0.701の良好なPLSモデルが得られた。また、その回帰係数の等高線図についての考察を行い、このモデルが妥当であるとの結論を得た。
著者
荒川 正幹 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.20-28, 2012 (Released:2012-05-19)
参考文献数
16

我々は、有機化合物の変異原性を予測するためのクラス分類モデルの構築を進めている。複数のSupport Vector Machine(SVM)モデルをサブモデルとして構築し、それらを組み合わせることで予測を行うアンサンブル手法を提案することで、これまでに予測正解率79.6%のモデルを構築することに成功している。しかし一方で、データベースに登録されているデータの一部に誤りが存在することを示唆する結果が得られた。そこで本研究では、誤りが疑われる化合物についてAmes試験を実施することでデータの検証を行った。Hansenらが収集・整理した、6,512化合物からなる復帰突然変異試験のデータセットを用い、アンサンブル手法によって変異原性予測モデルを構築した。そして、データベースに陰性として登録されているにも関わらず、多くのサブモデルによって陽性と判定される化合物を選択し、Ames試験を実施した。その結果、5化合物中の3化合物が陽性であることが判明した。